35 複合レジン修復材Adapticの乳臼歯複雑窩洞への応用

歯質に対する自然色と操作性の容易を目的に即時重合レジンが, 広く臨床に応用されてきたが, 歯髄に対する不快症状の発現などの欠点が完全無欠の修復材への道を遠くしていた. この欠点を除く, 努力は, 複合レジンとなって現れ, Adapticもその一種である. 当センターでは, Adapticを44例の乳臼歯2級2類窩洞へ応用し, 最長112日の臨床実験を施し, これが将来乳歯複雑窩洞への応用適否のPilot-Studyとした. 44例はいずれも局所麻酔下注水高速切削により窩洞形成後, 直ちにヴァニッシュ剤, 亜鉛華ユージノールセメント, 燐酸亜鉛セメントで間接歯髄保護のもとに, 指示書通りの操作で...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1972, Vol.10 (2), p.186-187
Hauptverfasser: 鈴木政子, 新谷知子, 角田初枝, 雨宮静子, 永井晴雄, 高市武, 名波寿美子, 栗山純雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:歯質に対する自然色と操作性の容易を目的に即時重合レジンが, 広く臨床に応用されてきたが, 歯髄に対する不快症状の発現などの欠点が完全無欠の修復材への道を遠くしていた. この欠点を除く, 努力は, 複合レジンとなって現れ, Adapticもその一種である. 当センターでは, Adapticを44例の乳臼歯2級2類窩洞へ応用し, 最長112日の臨床実験を施し, これが将来乳歯複雑窩洞への応用適否のPilot-Studyとした. 44例はいずれも局所麻酔下注水高速切削により窩洞形成後, 直ちにヴァニッシュ剤, 亜鉛華ユージノールセメント, 燐酸亜鉛セメントで間接歯髄保護のもとに, 指示書通りの操作で歯冠修復がなされた. 全症例は, 可及的に多頻度で臨床的観察が加えられたが, 臨床的不快症状としては, 温冷水に対する知覚過敏は皆無であり, わずか1例に軽度に咬合痛の発現したことがわかった. 即ち, 臨床総合成績では44例中, 不良と判定されたものは皆無であり1例2. 2%が概良と判定, 他は全て良と判定された. 修復材の変化については一部辺縁破折4. 5%,辺縁の明確化4. 5%, などの変化が認められたが, 本実験は比較的実験期間が短期であるので, この修復材自体の変化については更に追究後に判定をゆずる. なお補助診査としてX線診査も加えたが, この点では実験期間中の異常はなかった. いずれにせよ, 更に詳細な判定は, 臨床病理学的な検討が必要であろう. 修復操作に関しては, 従来よりアマルガム修復に熟達したものとして, 自然色の複合レジンは研磨付上げに一層の術式改良の必要性を感じる. しかし, そのいずれもが, 従来の金属に比較して審美的に優れたことは, 患者保護者の一致した意見であった. 本実験の結果では, 複合レジンは将来乳臼歯の修復に適するものと判定した.
ISSN:0583-1199