歯牙交換の組織化学
歯牙交換の過程は様々な組織変化によって推進されている. それについては, 古くから数多くの組織学的な観察が報告されているが, その組織化学的な研究は意外なほど少ない. それは, おそらく, 構成している組織成分(主に硬組織)の化学的又は物理的な特殊性から, 検索はふさわしい試料を作りにくいことによるのであろう. 私は, 主として, 永久歯歯胚の成長発育, 萠出にともなって, それと乳歯, 並びに口腔粘膜との間を占める組織内で起る変化を組織化学的な観点からのべるつもりである. それらの所見は, 一般組織学的な方法のほかに, 蛋白, 多糖類, 酵素の組織化学, microradiography,...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 歯牙交換の過程は様々な組織変化によって推進されている. それについては, 古くから数多くの組織学的な観察が報告されているが, その組織化学的な研究は意外なほど少ない. それは, おそらく, 構成している組織成分(主に硬組織)の化学的又は物理的な特殊性から, 検索はふさわしい試料を作りにくいことによるのであろう. 私は, 主として, 永久歯歯胚の成長発育, 萠出にともなって, それと乳歯, 並びに口腔粘膜との間を占める組織内で起る変化を組織化学的な観点からのべるつもりである. それらの所見は, 一般組織学的な方法のほかに, 蛋白, 多糖類, 酵素の組織化学, microradiography, tetracycline labelling, それに, electron microprobeによる元素分析等によって得られたものである. 永久歯歯胚の萠出方向で起る変化は, 軟組織成分の解重合, 溶解と硬組織の吸収であると考えられている. しかし, 実際には, その過程で, それ等に逆行する様な変化をもまじえていることがわかった. 乳歯根や歯槽骨の吸収は破骨(歯)細胞によって行なわれるが, 酵素組織化学的にそれは極めて細胞学的な活性の高い作業であることがたしかめられる. その過程で吸収されつつある硬組織の側に二次的な石灰化度のたかまり, 有機質成分の変質や増産, 微量元素濃度のたかまりなどが起っている. 一方, 軟組織で解重合が起っていると考えられる部位内で新しい細胞の増殖が認められる. 従って, これらの部分におこる変化を従来のように, 単に退行性の変化と考えるよりも, かなり進行性の過程を含む変化と考えるべきである. その方が, 歯牙交換に際して見られる様々な異常をよく説明出来る様に思われる. |
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ISSN: | 0583-1199 |