2 乳歯エナメル質低石灰化帯の微細構造について

乳歯エナメル質に石灰化の悪い低石灰化帯がしばしば見られる. これは乳歯歯胚にも存在することからエナメル質形成期にすでに存在し, 小柱や小柱間質の形成状態によるものと考えられる. そこでEDTAと酢酸緩衝液で脱灰操作を加え脱灰の進行とエナメル質の微細構造を走査型電子顕微鏡にて観察すると共にmicroradiogramにても検討を加え, さらに初期う蝕の脱灰状態について検索した. これによると小柱は小柱間質に比し石灰化が良く思われ低石灰化帯がよく見られる表層では間質が中層, 深層より幅広く, 小柱の太さは, 表層, 中層, 深層ともあまり変化は見られなかった. 脱灰操作を加えたものでは脱灰像は低石...

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Veröffentlicht in:小児歯科学雑誌 1970, Vol.8 (2), p.115-115
1. Verfasser: 両川辰雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:乳歯エナメル質に石灰化の悪い低石灰化帯がしばしば見られる. これは乳歯歯胚にも存在することからエナメル質形成期にすでに存在し, 小柱や小柱間質の形成状態によるものと考えられる. そこでEDTAと酢酸緩衝液で脱灰操作を加え脱灰の進行とエナメル質の微細構造を走査型電子顕微鏡にて観察すると共にmicroradiogramにても検討を加え, さらに初期う蝕の脱灰状態について検索した. これによると小柱は小柱間質に比し石灰化が良く思われ低石灰化帯がよく見られる表層では間質が中層, 深層より幅広く, 小柱の太さは, 表層, 中層, 深層ともあまり変化は見られなかった. 脱灰操作を加えたものでは脱灰像は低石灰化帯がよく見られる表層下に先ず見られ, 間質が脱灰され次いでレチウスの並行条に沿って脱灰層が拡がるのが見られた. また低石灰化部では脱灰の進行速度が早まると考えられた. 初期う蝕の脱灰の進行は同様にエナメル質表層下からみられ間質次いで横紋に沿って進行すると共に低石灰化部では他に先がけて脱灰の進行がみられると考えられた. これから低石灰化部がう蝕進行に関与すると共に石灰化度の低いと思われる間質, 横紋部から, う蝕の脱灰が進行すると考えられた.
ISSN:0583-1199