1. 赤外線吸収スペクトルによるエナメル質表層下脱灰の分析
今回は, 初期エナメル質齲蝕にみられるエナメル質表層下脱灰機構解明を課題として, すでに発表してきたElectron Probe Microanalyserによる分析結果を基礎にして, この分析方法では得られない, エナメル質表層下脱灰部の無機質成分変化を赤外線吸収スペクトルにより, 構造化学的にその変化を追求した. 実験材料は, 新鮮抜去人歯牙を用い, Sperber, et al. の方法でin vitroにおいて, 4mm×4mmエナメル質表面層に表層下脱灰巣を形成し, この試料について, 表層より1mgずつ削り取り, 深層に向かつて層分けを行ない分析試料とした. また別に, エナメル質...
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Veröffentlicht in: | 小児歯科学雑誌 1969, Vol.7 (1), p.99-99 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 今回は, 初期エナメル質齲蝕にみられるエナメル質表層下脱灰機構解明を課題として, すでに発表してきたElectron Probe Microanalyserによる分析結果を基礎にして, この分析方法では得られない, エナメル質表層下脱灰部の無機質成分変化を赤外線吸収スペクトルにより, 構造化学的にその変化を追求した. 実験材料は, 新鮮抜去人歯牙を用い, Sperber, et al. の方法でin vitroにおいて, 4mm×4mmエナメル質表面層に表層下脱灰巣を形成し, この試料について, 表層より1mgずつ削り取り, 深層に向かつて層分けを行ない分析試料とした. また別に, エナメル質粉末について100℃から1300℃までの熱処理を行なつた試料, ならびにMexico, Durango産apatite粉末試料についても分析を行ない参考とした. 使用した装置は日本分光DS-402G型回折格子赤外分光光度計で, 波数4000cm-1から650cm-1の吸収スペクトルを測定した. 以上のような実験方法で分析した結果, 1)エナメル質無機質については, H2O, OH, CO3, PO4のそれぞれの吸収スペクトルを示し, エナメル質結晶はhydro-, hydroxy carbonate apatiteであることが示唆された. 2)エナメル質表層下脱灰部では, 表層および深層の未脱灰層と比較すると, 吸収スペクトルは, 脱灰層ではH2O, およびOHが増加の傾向を示し, CO3の反応基に特異な消長を示し, エナメル質表層下脱灰機構解釈に示唆するところ大であつた. |
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ISSN: | 0583-1199 |