2-5 当院術中迅速細胞診検査の現状
[はじめに]腹腔洗浄・腹水細胞診検査は, 卵巣腫瘍及び胃癌取り扱い規約において, 癌細胞の有無による進行期決定に不可欠である. 当院ではその殆んどの症例で術中迅速細胞診検査(以下迅速細胞診)で行なっている. 同様に他の臓器においても迅速細胞診の成績が, 術式変更や予後の判定を左右する為, その重要性は十分認識されている. そこで, 今回は標本作製を中心に当院迅速細胞診検査の現状を紹介する. [迅速細胞診の概要]検体は, 主に生理食塩水を注入し各部位よりの洗浄液を回収したもので, パパニコロウ, 及びHE標本を迅速マニュアルにて各2枚作製する. 迅速時ではスクリーニングに十分な時間が取れない....
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Veröffentlicht in: | 県立がんセンター新潟病院医誌 2007, Vol.46 (2), p.128-128 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | [はじめに]腹腔洗浄・腹水細胞診検査は, 卵巣腫瘍及び胃癌取り扱い規約において, 癌細胞の有無による進行期決定に不可欠である. 当院ではその殆んどの症例で術中迅速細胞診検査(以下迅速細胞診)で行なっている. 同様に他の臓器においても迅速細胞診の成績が, 術式変更や予後の判定を左右する為, その重要性は十分認識されている. そこで, 今回は標本作製を中心に当院迅速細胞診検査の現状を紹介する. [迅速細胞診の概要]検体は, 主に生理食塩水を注入し各部位よりの洗浄液を回収したもので, パパニコロウ, 及びHE標本を迅速マニュアルにて各2枚作製する. 迅速時ではスクリーニングに十分な時間が取れない. 誤判定の危険性を防ぐためにも鏡検は複数人で行い, 必要に応じて病理医の指導を受けている. 検体受付から報告までは45分程かかる. 通常の業務を中断して人海戦術で対応する作業である. 検体提出は10時半前後から12時前, 及び14時前後に重複することが多い. この間に迅速組織診検査が入ると, そちらにも人員を取られるため, さらに報告まで時間を要することとなる. [他院との比較]迅速細胞診件数は2001年に477件であったが, 2006年は851件(内訳は, 外科434, 呼吸器外科248, 婦人科166, 他3)と年々増加している. 他施設との比較でみると, 2006年の迅速細胞診件数/細胞診総件数は, 当院(851件/11,752件), 県立A病院(2/5,630), 県立B病院(27/3,604), 市内総合病院(218/7,002)で, 多い他施設に比較しても件数では約4倍以上である. [結語]細胞診検査では医科点数表で迅速という項目は無く, 保険点数は迅速組織診検査の約1/10で190点のままである. 当院では対外的評価のされにくい迅速細胞診を多数引き受けているが, 検体の増加, 受付時間の重複がルーチン作業を圧迫しており, 精度管理上も問題となる恐れがある. 現在の一律迅速報告を, 術中報告・当日報告・翌日報告といった個々の症例に合わせた報告とできれば検体の重複を減らすことが出来る. 報告まで余裕があれば免疫染色を併用するなどして, より高い精度で診断することも可能になると思われる. 検体依頼の際のご配慮をお願いしたい. |
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ISSN: | 0549-4788 |