逆流性食道炎と食道裂孔ヘルニア発症における危険因子の検討

目的:近年,逆流性食道炎や食道裂孔ヘルニアは,食生活の欧米化などに伴って,若年者から高齢者に至るまで増加傾向にある.今回,これら疾患と検査データおよび食生活との関連性を知る目的で人間ドック受診者を対象として検討を加えたので報告する. 対象と方法:平成26年4月から12月までの9ヵ月間に,当施設の人間ドックで上部消化管内視鏡検査を施行した1,060名を対象とした.そのなかで下部食道に発赤やびらんなどの粘膜障害を認めた症例を逆流性食道炎と定義付け,検査データとしては,肥満,脂肪肝,LDLコレステロール,中性脂肪,HbA1cについて,問診事項としては夜食習慣,寝る前の食事摂食,飲酒習慣,飲酒量につい...

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Veröffentlicht in:人間ドック 2017, Vol.32(3), pp.517-524
Hauptverfasser: 福島, 京子, 佐藤, 寿子, 渡邊, 祐子, 玉坂, 洋子, 佐藤, 里美, 坂本, 弘明, 小原, 勝敏
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:近年,逆流性食道炎や食道裂孔ヘルニアは,食生活の欧米化などに伴って,若年者から高齢者に至るまで増加傾向にある.今回,これら疾患と検査データおよび食生活との関連性を知る目的で人間ドック受診者を対象として検討を加えたので報告する. 対象と方法:平成26年4月から12月までの9ヵ月間に,当施設の人間ドックで上部消化管内視鏡検査を施行した1,060名を対象とした.そのなかで下部食道に発赤やびらんなどの粘膜障害を認めた症例を逆流性食道炎と定義付け,検査データとしては,肥満,脂肪肝,LDLコレステロール,中性脂肪,HbA1cについて,問診事項としては夜食習慣,寝る前の食事摂食,飲酒習慣,飲酒量について,それぞれ比例ハザード法により相対危険率を算出し,p値は0.05以下をもって有意差ありと判定した. 結果:逆流性食道炎と食道裂孔ヘルニアは男性に多く,年齢的にみると逆流性食道炎は70歳代(23.8%),39歳以下(22.7%),50歳代(18.1%)の順に多かった.食道裂孔ヘルニアでは年齢による有意差はみられなかった.逆流性食道炎発症の危険因子は,肥満,脂肪肝,LDLコレステロール,中性脂肪,夜食習慣,寝る前の食事摂取,飲酒習慣,飲酒量(多量)であり,それ以外の検査項目(HbA1c)と問診項目(飲酒量2合未満)は,今回の解析から危険因子にはならなかった.食道裂孔ヘルニアの危険因子は,脂肪肝,中性脂肪,夜食習慣であった. 結論:今回の解析により,逆流性食道炎と食道裂孔ヘルニアは食生活および食習慣と密接に関連していることが示唆された.今後は,生活習慣病を防ぐためだけでなく,これらの食道疾患に罹患しないような食生活の指導が必要であると考える.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock.32.517