健診の上部消化管Ⅹ線検査で無症状の咽頭梨状窩瘻が発見された場合の判定と事後指導
目的:咽頭梨状窩瘻は、胎生期の遺残で,急性化膿性甲状腺炎の感染ルートとなる異常所見である.主に小児に発症するため,成人の健診において無症状で発見される咽頭梨状窩瘻に関しては,頻度や急性化膿性甲状腺炎発症のリスクなどの健診判定基準は明確ではない.我々は,最近3年間に健診の上部消化管X線検査で5例に無症状の咽頭梨状窩瘻を発見した.そこで,判定と事後指導につき,関連論文から検討したので報告する. 方法:関連論文はPubMedおよび医学中央雑誌から,成人,咽頭梨状窩瘻,急性化膿性甲状腺炎をキーワードに検索した. 結果:論文検索からは,無症状で発見される咽頭梨状窩瘻の健診判定基準に関する記述は見られなか...
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Veröffentlicht in: | 人間ドック 2010, Vol.24(5), pp.1048-1053 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:咽頭梨状窩瘻は、胎生期の遺残で,急性化膿性甲状腺炎の感染ルートとなる異常所見である.主に小児に発症するため,成人の健診において無症状で発見される咽頭梨状窩瘻に関しては,頻度や急性化膿性甲状腺炎発症のリスクなどの健診判定基準は明確ではない.我々は,最近3年間に健診の上部消化管X線検査で5例に無症状の咽頭梨状窩瘻を発見した.そこで,判定と事後指導につき,関連論文から検討したので報告する. 方法:関連論文はPubMedおよび医学中央雑誌から,成人,咽頭梨状窩瘻,急性化膿性甲状腺炎をキーワードに検索した. 結果:論文検索からは,無症状で発見される咽頭梨状窩瘻の健診判定基準に関する記述は見られなかった.発症例の論文では,成人の急性化膿性甲状腺炎は,まれな疾患であり典型例では診断に苦慮しないが,注意すべき点は,1)小児期に既往があり長い無症状の期間の後発症する例があること,2)典型的な急性化膿性甲状腺炎の症状を示さない例,亜急性甲状腺炎に類似した例があり注意が必要である,などが問題点であった. 結論:咽頭梨状窩瘻の異常所見が認められたときの判定と事後指導においては,指導区分は(B),事後指導は,急性化膿性甲状腺炎の発症は極めてまれであるが,頚部(特に甲状腺)に有痛性腫脹あるいは化膿性疾患が発症した場合には,医師にこの異常を持つことを告げることが早期診断に役立つ,との情報を与えておく.発症しても適切な診断・治療により生命を脅かす疾患ではないことから,不安を与えない説明を心がける. |
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ISSN: | 1880-1021 2186-5027 |
DOI: | 10.11320/ningendock.24.1048 |