272. 標準体重以下の脂肪肝の生活習慣病との合併についての検討

目的:過栄養による脂肪肝は, 肝硬変, 肝癌には進展しないが, 種々の生活習慣病を合併しやすいと考えられているため, 指導を行うのが一般的である. しかし, 脂肪肝が直接生活習慣病と結びつくのではなく, それに伴う過体重が生活習慣病と関係があり, 脂肪肝そのものには何ら問題がない可能性がある. 今回, 標準体重以下の脂肪肝が, 糖尿病, 高脂血症, 高尿酸血症, 高血圧症等の合併症に関係しているか否かについて検討した. 対象と方法:平成12年1月から12月までの当施設人間ドック受診者16,795名のうち, 糖尿病, 高脂血症, 高尿酸血症, 高血圧症, 肝疾患で治療中の者以外で, 1週間の総ア...

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Veröffentlicht in:健康医学 2002, Vol.16 (4), p.577-578
Hauptverfasser: 光宗泉, 光宗皇彦, 妹尾悦雄, 吉岡徹行, 宮本由紀, 高村謙一, 赤木公成, 萱嶋英三, 安達倫文, 沼田尹典, 原義人, 下村宏之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:過栄養による脂肪肝は, 肝硬変, 肝癌には進展しないが, 種々の生活習慣病を合併しやすいと考えられているため, 指導を行うのが一般的である. しかし, 脂肪肝が直接生活習慣病と結びつくのではなく, それに伴う過体重が生活習慣病と関係があり, 脂肪肝そのものには何ら問題がない可能性がある. 今回, 標準体重以下の脂肪肝が, 糖尿病, 高脂血症, 高尿酸血症, 高血圧症等の合併症に関係しているか否かについて検討した. 対象と方法:平成12年1月から12月までの当施設人間ドック受診者16,795名のうち, 糖尿病, 高脂血症, 高尿酸血症, 高血圧症, 肝疾患で治療中の者以外で, 1週間の総アルコール量が10合以下, BMIが22.0以下の2,541名(男性1,334名, 21~73歳, 女性1,201名, 23~76歳)に対して, 腹部超音波検査により脂肪肝の有無を確認した. 脂肪肝の有無と, 血糖, 総コレステロール, 中性脂肪, HDL―コレステロール, 尿酸, 最大血圧, 最小血圧との関係ついて, 男女別に分散分析を行った. 結果:中性脂肪, 最小血圧は, 男女ともに脂肪肝あり群が脂肪肝なし群に比較して高値だった. また, HDL―コレステロールは, 男女ともに脂肪肝あり群が低値だった. 女性における血糖, 最大血圧, 男性における尿酸は, 脂肪肝あり群が脂肪肝なし群に比較して高値だった. 総コレステロールは, 男女ともに両群間に有意差はなかった. 考察:たとえ標準体重以下であっても, 脂肪肝があれば, 糖尿病, 高脂血症, 高尿酸血症, 高血圧症を合併する可能性が高いので, より注意して指導すべきである.
ISSN:0914-0328