214. 当院における糖代謝異常者の検討

はじめに:近年の急速な糖尿病の増加に対し, 平成11年度から定期健康診断に血糖検査が義務づけられた. 血糖検査は空腹時が好ましいが, 当社では不規則勤務による食後時間のばらつきなどから空腹時および随時血糖の評価が曖昧であり, 糖代謝異常を血糖検査でスクリーニングする事は困難である. 当院では定期健康診断において採血対象者全員に対し, 血糖に加え食事の影響を受けにくいHbA1Cの測定を行い糖代謝異常を評価している. そこで今回糖尿病スクリーニングにおけるHbA1Cの有用性を検討し, さらに生活習慣病関連因子との関係についても分析した. 対象と方法:2000年4月から2001年3月までに定期健康診...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:健康医学 2002, Vol.16 (4), p.552-553
Hauptverfasser: 北原光太郎, 指原俊介, 堀下貴文, 青木朝海, 高木弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:はじめに:近年の急速な糖尿病の増加に対し, 平成11年度から定期健康診断に血糖検査が義務づけられた. 血糖検査は空腹時が好ましいが, 当社では不規則勤務による食後時間のばらつきなどから空腹時および随時血糖の評価が曖昧であり, 糖代謝異常を血糖検査でスクリーニングする事は困難である. 当院では定期健康診断において採血対象者全員に対し, 血糖に加え食事の影響を受けにくいHbA1Cの測定を行い糖代謝異常を評価している. そこで今回糖尿病スクリーニングにおけるHbA1Cの有用性を検討し, さらに生活習慣病関連因子との関係についても分析した. 対象と方法:2000年4月から2001年3月までに定期健康診断を受診した社員のうち採血を行った13,627名, および当院人間ドックを受験した4,248名を対象とし, 人間ドックで消化器検診を受検した空腹時血糖群(A群), と社員の自己申告に基づく空腹時血糖群(B群)および随時血糖群(C群)でのHbA1Cとの関係を検討し, さらに年齢, 肥満度, 家族歴, 血中脂質などの生活習慣病関連因子とも比較分析した. 結果:HbA1C5.8%以上の有所見者率は17,875名中1,573名(8.8%), 空腹時採血が明らかな人間ドック受検群(A群)においてHbA1Cが正常範囲にもかかわらず空腹時血糖が110mg/dl以上の有所見者率は5.7%と低率であった. A群, B群, C群の3群におけるHbA1Cと血糖値との相関係数はそれぞれr=0.757, r=0.714, r=0.582であった. 生活習慣病関連因子との関係についてはいずれもHbA1Cとの間に関連性が認められた. 考察と結語:HbA1Cと血糖値には3群とも強い順相関を認めたが, 自己申告に基づくB群, C群ではその相関性が低下しておりこのような状況下ではHbA1Cによるスクリーニングは有用であることが示唆された. 各生活習慣病関連因子とHbA1Cとの間にも関連性が認められ糖尿病予防にはこれらの因子も考慮する必要があると考えられた.
ISSN:0914-0328