148. 便潜血検査定量値より検討した大腸癌スクリーニング偽陰性の原因

「はじめに」:昨年, 本学会で便潜血検査を定量化することにより大腸癌の発見が効率的にできることを示すとともに, 採便不良が偽陰性発生に大きく関与している可能性を報告した. 今回は, 時系列データをもとに偽陰性の原因について検討した. 「対象および方法」:1996年6月から2000年12月までに延べ27,876名に便中Hb濃度精密測定を施行し, 発見された大腸癌39例(早期癌23例 進行癌16例)のうち逐年受診している18例を対象とした. 方法は, 金コロイド比色法(和光純薬)を使用し, 100ng/mlをCut off値とした. また, 採便による便中Hb濃度のばらつきを調べるために, 別に擬...

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Veröffentlicht in:健康医学 2001, Vol.16 (3), p.380-381
Hauptverfasser: 高橋直子, 志和正明, 長尾修自
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」:昨年, 本学会で便潜血検査を定量化することにより大腸癌の発見が効率的にできることを示すとともに, 採便不良が偽陰性発生に大きく関与している可能性を報告した. 今回は, 時系列データをもとに偽陰性の原因について検討した. 「対象および方法」:1996年6月から2000年12月までに延べ27,876名に便中Hb濃度精密測定を施行し, 発見された大腸癌39例(早期癌23例 進行癌16例)のうち逐年受診している18例を対象とした. 方法は, 金コロイド比色法(和光純薬)を使用し, 100ng/mlをCut off値とした. また, 採便による便中Hb濃度のばらつきを調べるために, 別に擬似便による検討を行った. 「結果」:時系列の追跡できた18例のうち14例が前年度陰性であった. 14例の大腸癌発見年の便中Hb濃度値は310.5±512.5ng/mlであるのに対して, 前年度の便中Hb濃度は17.2±17.8ng/ml(進行癌9.83±7.00ng/ml 早期癌24.5±28.5)と非常に低値であった. この値は, 陰性群全体とも有意差を認めない数値であった. 擬似便の検討では, 受診者が採取したものはバラツキが大きく陰性群と陽性群に2分している. これに対し, 表面擦過法は, 陰性であったものは無く擬似便の設定濃度付近に集まっている. 「まとめ」:擬似便のデータは実際の便潜血データに類似したものと考えられ, 採便不良が偽陰性の大きな原因のひとつであることが示された. 免疫学的便潜血検査の標準化が言われているが測定法の精度向上は測れたとしても, 採便の不確かさの問題をクリアしない限り, トータル的な精度向上には結びつかないと考えられる. 偽陰性を減らすためには, 表面擦過法による確実な採便が重要であることをあらためて強調したい.
ISSN:0914-0328