074. 当院ドックにおける前立腺癌検診の現状と今後の課題
当院健診室は昭和62年にスタートし, 平成11年5月より前立腺特異抗原(以下, PSAと略します)測定による前立腺癌検診を導入しました. 導入後の現状について検討し, 今後の検討課題を考えてみましたのでご報告致します. 平成11年5月20日より平成12年12月31日までに50歳以上の前立腺癌検診受診者2,024名を対象としました. 前立腺癌検診の方法はPSAの値をtandem法で測定し, cut off値を4.0としました. 4.1以上の値を示した患者に専門医受診を勧めることにしました. PSA値の分布を示しています. PSA値が4.1以上であった者は54名(2.68%)でした. 年齢別頻度は...
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Veröffentlicht in: | 健康医学 2001, Vol.16 (3), p.347-348 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 当院健診室は昭和62年にスタートし, 平成11年5月より前立腺特異抗原(以下, PSAと略します)測定による前立腺癌検診を導入しました. 導入後の現状について検討し, 今後の検討課題を考えてみましたのでご報告致します. 平成11年5月20日より平成12年12月31日までに50歳以上の前立腺癌検診受診者2,024名を対象としました. 前立腺癌検診の方法はPSAの値をtandem法で測定し, cut off値を4.0としました. 4.1以上の値を示した患者に専門医受診を勧めることにしました. PSA値の分布を示しています. PSA値が4.1以上であった者は54名(2.68%)でした. 年齢別頻度は50歳代が1.93%, 60歳代4.01%, 70歳代20.5%と年齢が高くなるに伴い, PSA高値である比率も高くなっていました. 50歳代の受診者が多いのは, 企業健診者の比率が高いことによるものです. 平成12年にPSA値が4.1以上であった人のうち, 12名が前年もPSA測定を行っていました. その推移をみたものです. 12名中10名が前年よりPSA値の上昇がみられました. また, 5名は4.0以下の正常域より翌年に4.1以上となっていました. 前立腺癌の発見率について検討しました. 4名の前立腺癌患者が発見され, その比率は一次検診受診者2,024名に対して0.2%, 二次検診受診者54名に対して13.3%でした. PSA高値者の二次検診受診率は, 検査値異常の報告と専門医受診を勧めるコメントだけであった平成12年5月31日までの一年間では65%でした. 同年6月より二次検診受診施設への紹介状を同封するようにしてからの7ヶ月間でも61%と二次検診受診率の向上に結びつきませんでした. PSA測定単独による二次検診受診率は75%~80%とする報告が多く, 一方当院健診室における二次検診受診率は63%という結果でした. そこで, 二次検診受診率が低かった要因を考えてみました. 1)受診者にPSA測定の意義を説明不足であった. 2)泌尿器科専門医への紹介状と返書の不備があった. 3)二次検診の受診状況を十分に把握していなかった. 以上の3点を考慮し, 改善策について考えてみました. 1)健診室内に前立腺癌検診についてのポスターを掲示し, PSA測定の意義について理解を得るようにした. 2)健診結果報告書に泌尿器科専門医受診を勧めるチラシを同封することにした. 3)泌尿器科専門医への紹介状を泌尿器科疾患専用のものに変更した. 4)二次検診受診状況を把握し, その向上に努めていく. この改善策は始めたばかりで, 今後その成果について検討したいと思います. 「まとめ」:1)当院人間ドックにおけるPSA測定者の特徴は企業健診者が多く含まれており, そのため50歳代が80%以上であった. 2)PSA値高値者の比率は年齢とともに高くなっていた. 3)同一受診者でPSA値は経年的に上昇傾向を示した. 4)前立腺癌発見率は0.2%であった. 5)二次検診受診率は63%と低く改善が必要と反省させられた. |
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ISSN: | 0914-0328 |