015. 5年の経過観察をなし得た非機能性悪性膵島細胞腫の1例
「症例」:58歳男性, 1995年1月, 当院人間ドックを受診, 血液及び尿検査で糖尿病, 腹部超音波検査で膵体部に12mm大の低エコー腫瘤が認められた. 精査が指示されたが, 本人より腹部CT検査で膵嚢胞と診断されたと報告があったので, 経過観察となった. その後, 毎年人間ドックを受診, 血液及び尿検査で糖尿病, 腹部超音波検査で膵体部に12mm大の低エコー腫瘤が認められた. 2000年2月, 再び人間ドックを受診, 血液及び尿検査で糖尿病, 腹部超音波検査で膵体部に12mm大の低エコー腫瘤, 左腎臓に25mm大の高エコー腫瘤が認められた. 膵体部の腫瘤は1995年から変化は認められなかっ...
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Veröffentlicht in: | 健康医学 2001, Vol.16 (3), p.322-322 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「症例」:58歳男性, 1995年1月, 当院人間ドックを受診, 血液及び尿検査で糖尿病, 腹部超音波検査で膵体部に12mm大の低エコー腫瘤が認められた. 精査が指示されたが, 本人より腹部CT検査で膵嚢胞と診断されたと報告があったので, 経過観察となった. その後, 毎年人間ドックを受診, 血液及び尿検査で糖尿病, 腹部超音波検査で膵体部に12mm大の低エコー腫瘤が認められた. 2000年2月, 再び人間ドックを受診, 血液及び尿検査で糖尿病, 腹部超音波検査で膵体部に12mm大の低エコー腫瘤, 左腎臓に25mm大の高エコー腫瘤が認められた. 膵体部の腫瘤は1995年から変化は認められなかった. 三井記念病院に紹介, 精査目的で入院となった. 腎腫瘤は悪性を強く疑い, 泌尿器科で手術, 病理診断は腎細胞癌だった. その後膵腫瘤精査のため内科に転科となった. 内科入院時の血液, 生化学検査ではALP, FBS, HbA1cが高い以外は正常だった. 腫瘍マーカーも正常だった. 内泌検査ではIRGがわずかに高い以外は正常だった. 造影CT像では境界明瞭なenhanceされる腫瘤が認められた. MRI検査ではT2でhigh intencityの腫瘤が認められた. ERCPでMPDに異常は認められなかった. 膵液の細胞診はclass IIだった. 悪性も否定できず手術が施行された. 腫瘍細胞の被膜血管への浸潤が認められ, 悪性島細胞腫と診断された. 術後のFBSは173mg/dlで高値を示していた. 「考察」:非機能性悪性島細胞腫は比較的まれな腫瘍で, 本邦では1930年に宮村らにより初めて報告されて以来, 私達が検索し得た範囲では, 自験例も含めて71例だった. 1992年を境に偶発的に小さな腫瘤で発見される例が増加している. 今回の症例は初回発見時の精査で嚢胞と診断された事と, 5年間画像上の変化が認められなかった事から, それ以上の検査が行われず, 腎癌が契機となり最終的に悪性と診断された. 画像上大き変化が認められなくても, 慎重な経過観察が必要と思われた. |
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ISSN: | 0914-0328 |