44. 糖尿病の運動療法における有酸素性の至適運動強度―心拍数と歩行速度について

「目的」:糖尿病の運動療法における有酸素性の至適運動強度について心拍数と歩行速度から検討した. 「方法」:対象は, 運動可能と診断された20歳から81歳までの2型糖尿病患者で男性187名(51.6±12.5歳), 女性114名(58.1±10.7歳)である. 測定方法は, 自転車エルゴメーターを用い運動負荷試験(ランプ法)を実施し, 同時に血圧の変化を測定した. 嫌気性閾値(AT)の95%の代謝に相当する心拍数を算出し, トレッドミルを用いて歩行速度を測定した. 「結果」:心拍数について全男性の平均は102±12bpmで, 全女性の平均は99±10bpmであった. 年齢に対する回帰分析は男性で...

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Veröffentlicht in:健康医学 2000, Vol.15 (3), p.244-245
Hauptverfasser: 重川敬三, 竹本吉夫, 向井幼子, 志村道隆, 橋本啓子, 村田雅彦, 宮下正弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」:糖尿病の運動療法における有酸素性の至適運動強度について心拍数と歩行速度から検討した. 「方法」:対象は, 運動可能と診断された20歳から81歳までの2型糖尿病患者で男性187名(51.6±12.5歳), 女性114名(58.1±10.7歳)である. 測定方法は, 自転車エルゴメーターを用い運動負荷試験(ランプ法)を実施し, 同時に血圧の変化を測定した. 嫌気性閾値(AT)の95%の代謝に相当する心拍数を算出し, トレッドミルを用いて歩行速度を測定した. 「結果」:心拍数について全男性の平均は102±12bpmで, 全女性の平均は99±10bpmであった. 年齢に対する回帰分析は男性ではr=-0.437でp<0.001の有意な相関が認められ, 女性ではr=-0.233でp<0.05の有意な相関が認められた. また, 歩行速度について全男性の平均は84±17mpmで, 全女性の平均は67±18mpmであった. 年齢に対する回帰分析は男性ではr=-0.334, 女性ではr=-0.475で共にp<0.001の有意な相関が認められた. 更に, 運動負荷試験時の血圧の変化は, AT出現直後より有意な上昇を示した. 「まとめ」:心拍数及び歩行速度は加齢に伴い低下の傾向を示した. 心拍数の目標値は一般に言われているほど高くなく, 歩行速度は普通の速度であり, 高齢になるに従ってゆっくりした速度であることが明らかとなった. また, 歩行速度はゆっくり歩行の指導においても血糖コントロールに改善が認められた. 更には, 血糖コントロールのために有酸素運動として歩行を指導する場合, 「急ぎ足で」というのは循環器系へストレスを与え, 強強度になりがちな運動を強いることが示唆された. 以上より, 糖尿病の運動療法における有酸素性の至適運動強度として心拍数の計算法は男性ではy=130-0.6(年齢), 女性ではy=115-0.3(年齢)となり, 歩行速度の計算法は男性ではy=110-0.5(年齢), 女性ではy=125-(年齢)となった.
ISSN:0914-0328