若年成人男性における運動中から運動後にわたる呼気延長呼吸が心臓副交感神経系活動および呼吸困難感に及ぼす影響

「I. 緒言」 心臓自律神経系活動は交感神経系活動および副交感神経系活動からなり, 循環動態の調整を行っている. 運動時に関して, 低-中等度の運動強度では副交感神経系活動の低下によって, 中等度以上の運動強度では交感神経系活動の亢進も加わって心拍数を上昇させ, 運動後は速やかに心拍数を減少させる. これら神経系の働きは高齢者や心疾患患者, 高血圧患者において低下しており, 有酸素性運動によって心臓自律神経系活動が改善すると報告されている. しかし, 安静時の副交感神経系活動が退縮している者では, 運動に伴い頻脈や頻呼吸, 血圧上昇を引き起こしやすいため, 積極的な運動介入が困難な場合も多い....

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Veröffentlicht in:日本運動生理学雑誌 2015-10, Vol.22 (2), p.51-59
Hauptverfasser: 杉本達也, 杉山和也, 高森公美, 小野くみ子, 石川朗
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 緒言」 心臓自律神経系活動は交感神経系活動および副交感神経系活動からなり, 循環動態の調整を行っている. 運動時に関して, 低-中等度の運動強度では副交感神経系活動の低下によって, 中等度以上の運動強度では交感神経系活動の亢進も加わって心拍数を上昇させ, 運動後は速やかに心拍数を減少させる. これら神経系の働きは高齢者や心疾患患者, 高血圧患者において低下しており, 有酸素性運動によって心臓自律神経系活動が改善すると報告されている. しかし, 安静時の副交感神経系活動が退縮している者では, 運動に伴い頻脈や頻呼吸, 血圧上昇を引き起こしやすいため, 積極的な運動介入が困難な場合も多い. 運動介入以外では, 呼吸の統制が副交感神経系活動への直接的な介入手段の1つであり, 安静時の呼吸を毎分6回に統制することで副交感神経系活動が亢進することが報告されている. 呼吸の統制に関して, 健常者を対象とした先行研究には安静時だけでなく, 低強度および中等度強度での自転車エルゴメータ運動時に吸気時間2秒および呼気時間4秒の呼気延長呼吸を行うことで副交感神経系活動の低下を抑制し, 自覚的運動強度が減少したとの報告がある.
ISSN:1340-3036