伝統的生薬品質管理技術の可視化─犬伏製薬独自の甘松選別法

「1. 緒論」 犬伏製薬株式会社の代表を代々担う犬伏家は徳島県の古くからの素封家として知られており, 藍住町史・製薬の項には犬伏古松軒製薬所(現犬伏製薬株式会社)が掲載されている. 犬伏家は近世初期(18世紀後半)から製薬業を営んでいたが, 文政年間(1818~1830)頃の当主であった犬伏九郎左衛門が阿波藩(現在の徳島県)の医師であった橘春庵の指導を得て, 阿波藩の城下に伝わる「龍虎圓」の処方に改良を加えて薬名も「敬震丹」と改め, 販路を拡張し隆盛を迎えたとされており, 近世後期から近現代に至るまで製薬業で大いに栄えたことが記録されている. 犬伏家独自の処方である「敬震丹」は, その多くを輸...

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Veröffentlicht in:薬史学雑誌 2015, Vol.50(1), pp.89-93
Hauptverfasser: 伊藤, 謙, 犬伏, 壮一郎, 森脇, 崇文, 松永, 和浩, 髙橋, 京子, 上田, 貴洋, 橋爪, 節也, 竹元, 裕明, 小林, 義典, 太田, 智絵, 中村, 誠宏, 松田, 久司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1. 緒論」 犬伏製薬株式会社の代表を代々担う犬伏家は徳島県の古くからの素封家として知られており, 藍住町史・製薬の項には犬伏古松軒製薬所(現犬伏製薬株式会社)が掲載されている. 犬伏家は近世初期(18世紀後半)から製薬業を営んでいたが, 文政年間(1818~1830)頃の当主であった犬伏九郎左衛門が阿波藩(現在の徳島県)の医師であった橘春庵の指導を得て, 阿波藩の城下に伝わる「龍虎圓」の処方に改良を加えて薬名も「敬震丹」と改め, 販路を拡張し隆盛を迎えたとされており, 近世後期から近現代に至るまで製薬業で大いに栄えたことが記録されている. 犬伏家独自の処方である「敬震丹」は, その多くを輸入に頼る貴重な生薬類(麝香, 竜脳, サフラン, 沈香, 桂皮, 丁子, 甘草, 牛黄, 人参, 香附子, 甘松, 牛胆, 木香, 生姜の14種類)から構成され, 現在も全国で販売されている. また江戸時代から処方の変遷はあるが, この14種の生薬は一貫して配合されてきたことが我々の調査で明らかになっている.
ISSN:0285-2314
2435-7529
DOI:10.34531/jjhp.50.1_89