『和剤局方』と李東垣方における調製法の検討

今日の漢方において代表的な治療法は煎じ液を用いた湯液方である. 湯液方は処方に配合される構成生薬を各々1日分量りとって混和し, 1日分をまとめて煎じてその煎液を3回, もしくは2回に分けて服用するのが一般的であり, 古来用いられてきた伝統的な調製法であると理解されている. 近年用いられているエキス剤も煎液を濃縮し, 賦形剤を加えて製剤化したものであるから, 以上の湯液方に準じているといえる. しかしながら, 漢方薬の調製法の実状が如何なるものであったのか, この点で真に伝統的な見地に立つならば, 煮散法という調製法を無視することはできない. 煮散法は宋代において広く用いられた調製法であり, 『...

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Veröffentlicht in:薬史学雑誌 2013, Vol.48(1), pp.55-62
1. Verfasser: 鈴木, 達彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:今日の漢方において代表的な治療法は煎じ液を用いた湯液方である. 湯液方は処方に配合される構成生薬を各々1日分量りとって混和し, 1日分をまとめて煎じてその煎液を3回, もしくは2回に分けて服用するのが一般的であり, 古来用いられてきた伝統的な調製法であると理解されている. 近年用いられているエキス剤も煎液を濃縮し, 賦形剤を加えて製剤化したものであるから, 以上の湯液方に準じているといえる. しかしながら, 漢方薬の調製法の実状が如何なるものであったのか, この点で真に伝統的な見地に立つならば, 煮散法という調製法を無視することはできない. 煮散法は宋代において広く用いられた調製法であり, 『和剤局方』は特に煮散法を採用した. この調製法をもとに, 始めて薬用量は規定されたと言っても過言ではない. 現在では煮散法が用いられることは稀であるが, これによりもたらされた調製法の規準は薬用量も含めて現代に受け継がれている.
ISSN:0285-2314
2435-7529
DOI:10.34531/jjhp.48.1_55