頸部放射線照射10年後に甲状腺機能低下症, および頸動脈狭窄を認めた1例
「緒言」頭頸部悪性腫瘍に対する放射線照射の合併症のうち, 小動脈の障害や皮膚障害など早期のものについては多数の研究がなされ, 多くの報告がなされているが, 晩期合併症については早期の合併症程は報告されていない. 今回我々は, 喉頭癌の放射線療法後10年を経て, 甲状腺機能低下症と頸動脈狭窄を指摘し得た症例を経験した. この症例は頸部放射線治療後の甲状腺機能低下と頸動脈の限局した肥厚の定期的な検査の重要性について示唆を与える症例であると考えられたので報告する. 「症例」患者:68歳男性 主訴:高血糖 既往歴:流行性肝炎(20歳台), 早期喉頭癌(54歳)にて放射線療法, 糖尿病, C型慢性肝炎(...
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Veröffentlicht in: | 秋田医学 2003, Vol.30 (3/4), p.191-195 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「緒言」頭頸部悪性腫瘍に対する放射線照射の合併症のうち, 小動脈の障害や皮膚障害など早期のものについては多数の研究がなされ, 多くの報告がなされているが, 晩期合併症については早期の合併症程は報告されていない. 今回我々は, 喉頭癌の放射線療法後10年を経て, 甲状腺機能低下症と頸動脈狭窄を指摘し得た症例を経験した. この症例は頸部放射線治療後の甲状腺機能低下と頸動脈の限局した肥厚の定期的な検査の重要性について示唆を与える症例であると考えられたので報告する. 「症例」患者:68歳男性 主訴:高血糖 既往歴:流行性肝炎(20歳台), 早期喉頭癌(54歳)にて放射線療法, 糖尿病, C型慢性肝炎(59歳) 現病歴:66歳時血糖コントロールのため当科紹介入院中に甲状腺機能低下を指摘された. 甲状腺腫は触知せず, TBII(TSH binding inhibiting immunoglobulin)や甲状腺の自己抗体が陰性であることから慢性甲状腺の亜型である特発性粘液水腫ではなく, 放射線療法による甲状腺機能低下症と診断され甲状腺ホルモンの補充療法が開始された(表1). |
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ISSN: | 0386-6106 |