マウス着床前期胚におけるHtrA2/Omiの発現とアポトーシスおよびフラグメンテーションへの関与に関する研究

「緒言」着床前期は哺乳動物の発育において排卵から着床までに相当する期間である. ヒトおよびマウスでは15-50%の胚が着床前期に細胞死をきたすと言われており, この時期に正常発育を遂げることが哺乳動物の生殖を考える上で重要である1,2). 胚発育異常の原因としては染色体や遺伝子の異常のほか, 体外培養においては母体由来の成長因子やサイトカインの不足を含めた培養環境の問題が考えられる3). 着床前期胚は生殖管中に浮遊した状態で着床まで発育し, その間に各種の成長因子はendocrine, paracrine, autocrineで着床前期胚に作用する1). その結果, 遺伝子の発現やそれに伴うタ...

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Veröffentlicht in:秋田医学 2003, Vol.30 (2), p.99-109
Hauptverfasser: 谷川秀郎, 河村和弘, 本田陽子, 佐藤敏治, 佐藤直樹, 福田淳, 児玉英也, 田中俊誠
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」着床前期は哺乳動物の発育において排卵から着床までに相当する期間である. ヒトおよびマウスでは15-50%の胚が着床前期に細胞死をきたすと言われており, この時期に正常発育を遂げることが哺乳動物の生殖を考える上で重要である1,2). 胚発育異常の原因としては染色体や遺伝子の異常のほか, 体外培養においては母体由来の成長因子やサイトカインの不足を含めた培養環境の問題が考えられる3). 着床前期胚は生殖管中に浮遊した状態で着床まで発育し, その間に各種の成長因子はendocrine, paracrine, autocrineで着床前期胚に作用する1). その結果, 遺伝子の発現やそれに伴うタンパク質の合成が生じ, 胚における細胞分裂, 分化などが促進されるが, このendocrine, paracrine作用の欠如が体外培養で通常見られる発育の遅れにつながっているものとみなされる1). 発育停止などの異常をきたした着床前期胚はその24時間以降にしばしば細胞質や核, DNAのフラグメンテーションを起こすが, これはアポトーシスに特徴的な変化と類似している2).
ISSN:0386-6106