ゼラチンスポンジ同時皮下移植によるマウス線維肉腫細胞の悪性化進展に対する好中球枯渇抗体の抑制効果

「緒言」癌の脅威は, 癌細胞が増殖し続け, 周囲組織内浸潤, 遠隔転移へと急速に進行し, 最終的に担癌宿主を死に至らしめる生物学的悪性度にある. この癌の悪性化進展のメカニズムを解明することが, 癌治療への最善策であると考える. 生体内において癌細胞が増殖能, 浸潤能, 転移能を獲得する過程には, 常に接触している宿主側因子の影響が非常に大きいと推測される. また, いくつかの炎症性疾患に特に癌の合併率が高い1-3), 実験的発癌に対する抗炎症剤の抑制効果4-7)などの報告があり, 炎症に伴う様々な宿主側因子が癌の悪性化進展に促進的に働いている可能性が示唆される. 今回, 筆者はマウス癌悪性化...

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Veröffentlicht in:秋田医学 2000, Vol.27 (3/4), p.219-230
1. Verfasser: 田澤大
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」癌の脅威は, 癌細胞が増殖し続け, 周囲組織内浸潤, 遠隔転移へと急速に進行し, 最終的に担癌宿主を死に至らしめる生物学的悪性度にある. この癌の悪性化進展のメカニズムを解明することが, 癌治療への最善策であると考える. 生体内において癌細胞が増殖能, 浸潤能, 転移能を獲得する過程には, 常に接触している宿主側因子の影響が非常に大きいと推測される. また, いくつかの炎症性疾患に特に癌の合併率が高い1-3), 実験的発癌に対する抗炎症剤の抑制効果4-7)などの報告があり, 炎症に伴う様々な宿主側因子が癌の悪性化進展に促進的に働いている可能性が示唆される. 今回, 筆者はマウス癌悪性化進展モデルを用いて, 炎症による癌の悪性化進展において促進的に働く宿主側要因の解明を試みた. すなわち, C57BL/6マウスの退縮型線維肉腫細胞(以下QR癌細胞)は, 炎症を惹起する異物(ゼラチンスポンジ)と同時皮下移植されると悪性化進展を引き起し, 皮下増殖性が増強されるとともに, 強い転移能を獲得する.
ISSN:0386-6106