脊髄損傷ラットにおける下部尿路機能と膀胱で産生される神経成長因子

「緒言」脊髄損傷直後には脊髄-脳幹-脊髄反射経路が断絶して排尿が不能に陥るが, ある期間を経過すると仙髄より上位の核上型脊髄損傷では排尿筋過反射となる場合が多い. この現象は, 一般に膀胱伸展刺激に反応しない無髄求心性線維(C-fiber)を介する新しい脊髄排尿反射が出現したためと解釈されている1). このような脊髄排尿反射の再構築には, 神経成長因子(以下NGFと略す)の関与が示唆される. NGFは二重体構造をなす分子量13,500の塩基性蛋白で, 交感神経細胞, 知覚神経細胞あるいは大脳基底核コリン作動性神経細胞の軸索が投射する領域で産生され, 神経細胞の分化, 成長と維持に不可欠な因子と...

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Veröffentlicht in:秋田医学 2000, Vol.27 (2), p.57-63
1. Verfasser: 立木裕
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」脊髄損傷直後には脊髄-脳幹-脊髄反射経路が断絶して排尿が不能に陥るが, ある期間を経過すると仙髄より上位の核上型脊髄損傷では排尿筋過反射となる場合が多い. この現象は, 一般に膀胱伸展刺激に反応しない無髄求心性線維(C-fiber)を介する新しい脊髄排尿反射が出現したためと解釈されている1). このような脊髄排尿反射の再構築には, 神経成長因子(以下NGFと略す)の関与が示唆される. NGFは二重体構造をなす分子量13,500の塩基性蛋白で, 交感神経細胞, 知覚神経細胞あるいは大脳基底核コリン作動性神経細胞の軸索が投射する領域で産生され, 神経細胞の分化, 成長と維持に不可欠な因子とされる2). NGFは膀胱でも産生され, 尿道閉塞時のラット膀胱ではNGFが増加する3). すなわち何らかの負荷状況下にある膀胱ではNGFの産生が促進され, 支配神経の構築と機能を変化させることが想定される. 本研究では, ラットの脊髄損傷モデルを用いて排尿反射と膀胱NGF値を経時的に測定し, 両者の関連を検討した.
ISSN:0386-6106