民有林業労働者における冬期の自覚症状と防寒対策

要旨:【目的】冬期の林業労働の快適化をはかるための研究の一環として, 民有林業労働者を対象に, 冬期の自覚症状と防寒具着用状況等に関する調査を実施した. 【方法】A県内の4森林組合に所属し, 冬期に林業労働を行っている男性労働者84名(43.6±10.0歳)を対象に, 冬期の自覚症状, 防寒具着用状況, 振動工具使用状況等について, 無記名自記式のアンケート調査を行った. 【結果と考察】1. 民有林業労働者の手指のレイノー現象およびしびれの有訴率は, それぞれ11.9%, 45.2%であった. 「手指のレイノー現象」の有訴率は, 振動工具使用歴が長いほど高率であった(P<0.05). また,...

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Veröffentlicht in:日本職業・災害医学会会誌 2008-09, Vol.56 (5), p.192-197
Hauptverfasser: 井奈波良一, 黒川淳一, 井上眞人
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:要旨:【目的】冬期の林業労働の快適化をはかるための研究の一環として, 民有林業労働者を対象に, 冬期の自覚症状と防寒具着用状況等に関する調査を実施した. 【方法】A県内の4森林組合に所属し, 冬期に林業労働を行っている男性労働者84名(43.6±10.0歳)を対象に, 冬期の自覚症状, 防寒具着用状況, 振動工具使用状況等について, 無記名自記式のアンケート調査を行った. 【結果と考察】1. 民有林業労働者の手指のレイノー現象およびしびれの有訴率は, それぞれ11.9%, 45.2%であった. 「手指のレイノー現象」の有訴率は, 振動工具使用歴が長いほど高率であった(P<0.05). また, 「手指の冷え」, 「手指のしびれ」, 「手指の痛み」および「手指のこわばり」の有訴率は, 振動工具使用歴20年以上の群が, 10年未満および10年から20年未満の群より有意に高率であった(P<0.01またはP<0.05). 2. 民有林業労働者の「耳鳴り」および「聞こえにくい」の有訴率はそれぞれ26.2%, 36.9%であった. 3. 民有林業労働者の筋骨格系の自覚症状の有訴率は, 「手指の痛み」が42.9%, 「手首の痛み」が34.5%, 「肩の痛み」が42.9%, 「首の痛み」が34.5%, 「腰痛」が75.0%, 「膝の痛み」が57.1%, であった. 4. 民有林業労働者の手指や足が作業中, 寒くて「痛い」, 「感覚がなくなる」の有訴率は35.7%~64.3%が達し, 「寒くて作業がつらい」の有訴率も70.2%であった. 5. 民有林業労働者の防寒靴着用率は47.6%であったが, 「作業中・休憩中に身体の汗をふく」や「汗をかいたとき下着を替える」の実施率はそれぞれ14.3%, 25.0%にすぎなかった. この点のさらなる教育が必要と考えられる. 以上のことから, 民有林業労働者では, かなり高率に振動障害, 騒音性難聴および筋骨格系障害が発生していると考えられる. また, 防寒対策のさらなる改善が期待される.
ISSN:1345-2592