中高年女性に対する健康づくり事業における体脂肪率別にみた検査値・生活習慣の変化

【背景】女性の中年期以降にみられる肥満は, 更年期以降に急増する心血管系疾患の原因としても注目される. 生活習慣病との関連が報告されている内臓脂肪型肥満やかくれ肥満は, 中高年女性においてはBMIの判定では見逃される可能性があり, 体脂肪率を健康支援の指標として用いた方が, 介入による測定値の変化をより捉えやすく, 生活習慣の改善の動機付けにも有用であると考える. 【目的】体脂肪率を中高年女性に対する健康づくりの指標とした効果的な介入について検討することを目的に, 生活習慣病に関わる臨床検査値, 生活習慣・健康観の12ヵ月間の変化を分析した. 【方法】対象者は, 「労働者健康づくり21」に参加...

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Veröffentlicht in:日本職業・災害医学会会誌 2006-09, Vol.54 (5), p.220-225
Hauptverfasser: 山口淑恵, 梁井敏郎, 高崎里香, 和田茜, 石竹達也
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【背景】女性の中年期以降にみられる肥満は, 更年期以降に急増する心血管系疾患の原因としても注目される. 生活習慣病との関連が報告されている内臓脂肪型肥満やかくれ肥満は, 中高年女性においてはBMIの判定では見逃される可能性があり, 体脂肪率を健康支援の指標として用いた方が, 介入による測定値の変化をより捉えやすく, 生活習慣の改善の動機付けにも有用であると考える. 【目的】体脂肪率を中高年女性に対する健康づくりの指標とした効果的な介入について検討することを目的に, 生活習慣病に関わる臨床検査値, 生活習慣・健康観の12ヵ月間の変化を分析した. 【方法】対象者は, 「労働者健康づくり21」に参加し, 初回時, 3ヵ月後, 6ヵ月後, 9ヵ月後, 12ヵ月後の5回ともに測定を受けた女性51名(40~69歳)である. 初回参加時の体脂肪率により体脂肪率30%未満群と30%以上群の2群に分け, 反復測定分散分析を行った. 【結果】生活習慣・健康観の自覚的変化については, 2群間において介入の効果に違いはなく, 両群とも改善傾向がみられた. 各検査値の変化については, BMI, 体脂肪率, SBP, DBP, HDL, PWVにおける継続期間の主効果と, BMI, 体脂肪率, DBP, HDL, 血糖での体脂肪率別の主効果, ならびにBMI, 体脂肪率, SBP, HbAlcでの交互作用が確認された. 全体的に, 30%未満群よりも30%以上群の方に改善の傾向が確認され, とくに介入後3ヵ月目に大きな変化がみられた. 【考察】中高年女性に対する健康づくりにおいて, 体脂肪率を指標にした介入の有効性が示唆され, 体脂肪率と継続期間に着目した介入の必要性が明らかになった. 今後は, 精神的側面も考慮した, 体脂肪率別によるプログラムや, 3ヵ月後の効果を維持させるための継続期間によるプログラムの開発が期待される.
ISSN:1345-2592