HID前照灯の視覚機能に及ぼす影響に関する研究

本実験はHID前照灯に照射された場合の瞳孔反応に関する基礎的資料を得ることを目的に実施された. 被験者にはあらかじめインフォームドコンセントによる了解を得て実施し, 健常な男子大学生7名で, 暗順応状態にある目にHID前照灯を照射した際の瞳孔径の変化および瞳孔径回復時間に関してアイマークカメラを用いて実験的に検討した. 明順応状態での瞳孔径の平均は直径2.9±0.6mmで, 暗順応状態では5.3±0.5mmであった. HID前照灯照射直後の瞳孔径は, 3画面照射角度(10°, 15°, 20°)および2種の照射距離(5m, 7m)のいずれの条件においても明順応状態下の瞳孔径より小さな値を示した...

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Veröffentlicht in:人間工学 2006, Vol.42 (6), p.389-393
Hauptverfasser: 加藤象二郎, 福田康明, 斉藤真, 中嶋芳雄, 高松衛
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:本実験はHID前照灯に照射された場合の瞳孔反応に関する基礎的資料を得ることを目的に実施された. 被験者にはあらかじめインフォームドコンセントによる了解を得て実施し, 健常な男子大学生7名で, 暗順応状態にある目にHID前照灯を照射した際の瞳孔径の変化および瞳孔径回復時間に関してアイマークカメラを用いて実験的に検討した. 明順応状態での瞳孔径の平均は直径2.9±0.6mmで, 暗順応状態では5.3±0.5mmであった. HID前照灯照射直後の瞳孔径は, 3画面照射角度(10°, 15°, 20°)および2種の照射距離(5m, 7m)のいずれの条件においても明順応状態下の瞳孔径より小さな値を示した. 分散分析の結果, 3種の照射角度にのみ有意差が認められ, 10°で2.3±0.3mm, 15°で2.6±0.4mm, 20°で2.7±0.3mmであった. HID前照灯の照射前瞳孔径に回復する時間を分析した結果, 照射角度に対応して回復時間に有意差が認められ, 10°で13.82±2.67s, 15°で11.66±2.15s, 20°で11.03±2.35sであった. 瞳孔径および回復時間に与える実験的条件は照射角度によって有意に異なることが明らかとなった. 夜間運転時において暗順応状態にある瞳孔径は, 対向車のHID前照灯による照射で明順応下の瞳孔径よりさらに縮小しており, グレア効果の大きさを示したものである.
ISSN:0549-4974
DOI:10.5100/jje.42.389