人間に心理的脅威を与えないロボットアーム運動の動作予告提示法

今後, 福祉・医療の分野における, 介護者不足の問題を解決するために, 人間共存型ロボットの開発が求められている. ロボットと人間の共存社会が始まれば, ロボットの運動が心理的な脅威となりうる. 本報告では, 人間に密接した環境で運動するロボットアームに着目し, 人間に心理的脅威を与えないロボットアーム運動の予告を考える. そして, この動作予告をLEDの点灯により行い, その有効性を脅威に関する感情語である「恐い」「びっくり」「不快」の3つを用いた, 評定尺度法による心理評価方法をもとに検討した. はじめに, 動作予告を提示するタイミングを調べた結果, 運動直前に予告をすると「恐い」「びっく...

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Veröffentlicht in:人間工学 2001, Vol.37 (5), p.252-262
Hauptverfasser: 河北洋平, 池浦良淳, 水谷一樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:今後, 福祉・医療の分野における, 介護者不足の問題を解決するために, 人間共存型ロボットの開発が求められている. ロボットと人間の共存社会が始まれば, ロボットの運動が心理的な脅威となりうる. 本報告では, 人間に密接した環境で運動するロボットアームに着目し, 人間に心理的脅威を与えないロボットアーム運動の予告を考える. そして, この動作予告をLEDの点灯により行い, その有効性を脅威に関する感情語である「恐い」「びっくり」「不快」の3つを用いた, 評定尺度法による心理評価方法をもとに検討した. はじめに, 動作予告を提示するタイミングを調べた結果, 運動直前に予告をすると「恐い」「びっくり」の感情を感じ, 予告後2.5(s)以上経過して, ロボットが運動を開始すると,「不快」の感情を感じることが分かった. したがって,「恐い」と「びっくり」と「不快」の感情を同時に抑えるには, ロボット運動前1~2(s)に, 動作予告を提示するのが最適であることが分かった. 次にロボットアーム先端速度の予告を, LEDの点灯数により与えることの有効性を調べた結果,「恐い」と「びっくり」の感情については, ロボットアームの先端速度が速くなるにつれ, また,「不快」については, 速度が遅いときに予告の効果が現れることが分かった. 最後に, ロボットアーム先端移動方向の予告を, LEDの点灯する色により与えることの有効性を調べた結果, ロボットアームが被験者に近づく運動に対しては, この情報を与えることが有効であることが分かった.
ISSN:0549-4974
DOI:10.5100/jje.37.252