FDPS法(Fractal Decomposition of Power Spectrum)による心拍数変動のスペクトル解析

心拍数変動(HRV)にはハーモニック成分と周波数に逆比例するフラクタル成分が含まれている. 0.15Hz以上の周波数をもつハーモニック成分は呼吸周期と関連し, 副交感神経活動を反映する. 一方, 0.15Hz以下の低周波数成分は圧反射と関わり, 交感・副交感神経が介在する. フラクタル成分は脳の心臓血管調節中枢を反映するといわれているが, その存在はハーモニック成分を不明確にする. Yamamoto&Hughsonは, フラクタル成分を選択的に除去する“Coarse-Graining Spectral Analysis(CGSA)”なる優れたスペクトル推定法を開発した. しかし, CGSA法に...

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Veröffentlicht in:人間工学 1997, Vol.33 (4), p.235-241
Hauptverfasser: 久野弘明, 伊藤正美, 三田勝已
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:心拍数変動(HRV)にはハーモニック成分と周波数に逆比例するフラクタル成分が含まれている. 0.15Hz以上の周波数をもつハーモニック成分は呼吸周期と関連し, 副交感神経活動を反映する. 一方, 0.15Hz以下の低周波数成分は圧反射と関わり, 交感・副交感神経が介在する. フラクタル成分は脳の心臓血管調節中枢を反映するといわれているが, その存在はハーモニック成分を不明確にする. Yamamoto&Hughsonは, フラクタル成分を選択的に除去する“Coarse-Graining Spectral Analysis(CGSA)”なる優れたスペクトル推定法を開発した. しかし, CGSA法にはそのアルゴリズムに幾つかの問題があった. 本研究では, この問題を改善したアルゴリズム“Fractal Decomposition of Power Spectrum(FDPS)”を提案した. FDPS法は従来のスペクトル解析法と比較してHRVスペクトルのハーモニック成分を高感度に検知できることが明らかになった. また, このスペクトル解析法はHRVが小さくなる高齢者や自律神経障害のある患者の心臓血管機能を評価するための有用な手段になると考える.
ISSN:0549-4974