心拍数からみた実機飛行と模擬飛行との比較

本研究では, 操縦者の心拍数を指標として, 加速度のような物理的要因の介在しない精神的要因優位の模擬飛行条件と, 精神的・物理的要因の複合する実機飛行条件との差異を検討した. さらに, 模擬飛行時心拍数による実機操縦時心拍数推定の統計測度についても検討した. (1)模擬飛行条件下での特定飛行時期(離着陸時)において特異的心身反応のみられる心拍数の統計測度は, 最大平均心拍数であった. (2)模擬飛行課目別の最大平均心拍数は, 離陸や着陸で最も高く, G負荷の大きいアクロバット飛行(MTT)がこれらの課目についで高いものであった. 心拍数増加にはG負荷より精神的要因が大きく影響することが理解され...

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Veröffentlicht in:人間工学 1996-06, Vol.32 (3), p.123-129
Hauptverfasser: 加藤象二郎, 門尾孝是, 西修二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:本研究では, 操縦者の心拍数を指標として, 加速度のような物理的要因の介在しない精神的要因優位の模擬飛行条件と, 精神的・物理的要因の複合する実機飛行条件との差異を検討した. さらに, 模擬飛行時心拍数による実機操縦時心拍数推定の統計測度についても検討した. (1)模擬飛行条件下での特定飛行時期(離着陸時)において特異的心身反応のみられる心拍数の統計測度は, 最大平均心拍数であった. (2)模擬飛行課目別の最大平均心拍数は, 離陸や着陸で最も高く, G負荷の大きいアクロバット飛行(MTT)がこれらの課目についで高いものであった. 心拍数増加にはG負荷より精神的要因が大きく影響することが理解された. (3)模擬飛行条件下で得られた平均心拍数および最大平均心拍数は, いずれの課目においても実機飛行時の平均心拍数より低いものであった. (4)実機操縦時の心拍数推定の統計測度としては, 模擬飛行条件下で得られた"最大心拍平均値+1.0σによって得られる値が良好であった. 「1. まえがき」パイロット・ワークロードの定量化は, ワークロード低減策, 操縦席内自動化の効果, 飛行教育や飛行安全の策定などにとって重要な評価ツールとなる.
ISSN:0549-4974
DOI:10.5100/jje.32.123