高等学校「家庭基礎」の教科書における「家族」:家庭科における家族の再生産機能の強調

「問題と目的」現代の家族は形態と機能が多様化し, その定義は困難である. 家族とは「自分たちが家族として了解している人々のこと」という定義がもっとも現実に近く, 社会との関わりの中で最適化が起こり続ける概念である (平木, 2019 ; 柏木, 2003). 家族心理学は, 社会的に構築され, 個人や家族が持つ「家族」についての概念やイメージを常に吟味していく必要がある. 本研究は, 人々の持つ「家族」概念の形成に影響を与えると考えられる家庭科の教科書の内容を探索的に分析する. 教科書に注目するのは, 以下に述べるように, そこに国の意図が反映されるからである. また, 教科書で伝えられる知識...

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Veröffentlicht in:家族心理学研究 2023/03/31, Vol.36(2), pp.126-142
Hauptverfasser: 平井, 美佳, 神前, 裕子, 高橋, 惠子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「問題と目的」現代の家族は形態と機能が多様化し, その定義は困難である. 家族とは「自分たちが家族として了解している人々のこと」という定義がもっとも現実に近く, 社会との関わりの中で最適化が起こり続ける概念である (平木, 2019 ; 柏木, 2003). 家族心理学は, 社会的に構築され, 個人や家族が持つ「家族」についての概念やイメージを常に吟味していく必要がある. 本研究は, 人々の持つ「家族」概念の形成に影響を与えると考えられる家庭科の教科書の内容を探索的に分析する. 教科書に注目するのは, 以下に述べるように, そこに国の意図が反映されるからである. また, 教科書で伝えられる知識の内容は子どもの社会化過程において価値観やステレオタイプの形成に影響を与えると考えられることから (e.g., 塘, 1995), 心理学研究の対象としても価値ある資料である. 周知のとおり, 日本の小・中・高等学校の教科書は検定制度下にある.
ISSN:0915-0625
2758-3805
DOI:10.57469/jafp.36.2_126