「血縁を超えて親になる」までの養母の心理的変容プロセス - 複線径路・等至性モデル (TEM) と発生の三層モデル (TLMG) による分析の試み
「問題と目的」子どもの権利条約 (1989) の前文で, 「児童がその人格の完全なかつ調和のとれた発達のため, 家庭環境の下で幸福, 愛情および理解のある雰囲気の中で成長すべき」とされ, 社会的養護が必要な子どもに恒久的に属することができる家庭を提供することは今や世界的に認められてきている. わが国でも2016年の児童福祉法改正で子どもが権利の主体であることを明確にし, 家庭養育優先の理念を規定した. 実親による養育が困難であれば, 特別養子縁組や里親による養育を推進することを示した. 特別養子縁組は子どもに温かい家庭を与えるとともに, その子どもの養育に法的安定性を与えることにより, 恒久的...
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Veröffentlicht in: | 家族心理学研究 2019-09, Vol.33 (1), p.27-39 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「問題と目的」子どもの権利条約 (1989) の前文で, 「児童がその人格の完全なかつ調和のとれた発達のため, 家庭環境の下で幸福, 愛情および理解のある雰囲気の中で成長すべき」とされ, 社会的養護が必要な子どもに恒久的に属することができる家庭を提供することは今や世界的に認められてきている. わが国でも2016年の児童福祉法改正で子どもが権利の主体であることを明確にし, 家庭養育優先の理念を規定した. 実親による養育が困難であれば, 特別養子縁組や里親による養育を推進することを示した. 特別養子縁組は子どもに温かい家庭を与えるとともに, その子どもの養育に法的安定性を与えることにより, 恒久的に子どもの健全な育成を図る児童の最善の利益を重視したしくみである. 施設養護から家庭養護への転換は児童の最善の利益の視点からは大きな前進といえるが, 現実には養子縁組や里親委託された血縁によらない子どもの養育には特有の様々な困難や課題, そのための支援の必要性が指摘されている (金山・金山, 2006 ; 広瀬・岩立, 2011 ; 中山・深谷・深谷編, 2018). |
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ISSN: | 0915-0625 |