刻印反応の獲得と維持にかかわる強化随伴性

本論文では、早成性鳥類のヒナの刻印反応の獲得と維持に関わる問題について解説した。まずLorenz (1935, 1937)の行動生物学的視点を紹介し、さらに知覚・連合学習の視点、Hoffman & Ratner (1973)によるレスポンデント条件づけによる刻印づけの強化モデルと、行動分析学の視点について説明した。行動分析学の視点として、Skinner (1966, 1969)と樋口・望月・森山・佐藤(1976)のそれぞれの視点を紹介した。これまでに行なわれた刻印づけについての多くの実験室的研究結果とそれぞれの視点で述べた考察から、行動分析学の視点が、刻印反応の獲得と維持にかかわる行動...

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Veröffentlicht in:行動分析学研究 2019/08/31, Vol.34(1), pp.103-125
1. Verfasser: 森山, 哲美
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:本論文では、早成性鳥類のヒナの刻印反応の獲得と維持に関わる問題について解説した。まずLorenz (1935, 1937)の行動生物学的視点を紹介し、さらに知覚・連合学習の視点、Hoffman & Ratner (1973)によるレスポンデント条件づけによる刻印づけの強化モデルと、行動分析学の視点について説明した。行動分析学の視点として、Skinner (1966, 1969)と樋口・望月・森山・佐藤(1976)のそれぞれの視点を紹介した。これまでに行なわれた刻印づけについての多くの実験室的研究結果とそれぞれの視点で述べた考察から、行動分析学の視点が、刻印反応の獲得と維持にかかわる行動過程を適切に説明できると結論した。刻印づけについての行動分析学の視点は、刻印反応を生得的な反応と見ないで系統発生的随伴性に由来する制御と個体発生的随伴性による制御の双方の影響を受ける反応と捉える。さらに樋口他の視点は、刻印反応は餌のような多様な強化子との関係によって維持される反応であると説明している。最後に、樋口他の視点を実証するために筆者が実施した研究を紹介し、その上で刻印づけについての行動分析学的視点による説明の意義について論じた。
ISSN:0913-8013
2424-2500
DOI:10.24456/jjba.34.1_103