人間行動の実験的分析

人間(あるいはヒト)の行動を研究対象とする実験的行動分析(the experimental analysis of behavior, EAB)は, 特に, 人間行動の実験的分析(the experimental analysis of human behavior, EAHB). または実験的人間行動分析(藤田・佐藤, 1985)と呼ばれる. 本特集はEAHBに関するいくつかの論文で構成されている. そのそれぞれに言及する前に, まず, この, EAHBと呼ばれているものについて, 少し考えてみたい. 人間行動の実験的分析 1990年, “Journal of the Experimental Analysis of Behavior(JEAB)”は, 54巻3号でEAHBの特集を組み, 1998年には, EAHBのハンドブックが出版された(Lattal ＆ Perone, 1998). その名も, “Experimental Analysis of Human Behavior Bulletin”というEAHBの専門誌も, 2002年6月現在で19巻を数えている. こうしてみると, EAHBはひとつの学問分野として確立されているかのような印象を受ける. 一方で, 人間以外の動物(以下, 単に動物と表記する)の行動を研究対象とするEABには, このような特別な地位は与えられていない. 例えば, ハトやラットの行動の実験的分析は, “ハト行動の実験的分析”, “ラット行動の実験的分析”とは呼ばれない. これらは, EABと総称されているだけである.