ヒト歯髄培養細胞におけるlipopolysaccharideによるkallikrein-related peptidase 8産生と炎症反応
目的:Kallikrein-kininカスケードは炎症時における血管透過性亢進や発痛に関与するが,組織カリクレインとも呼ばれるkallikrein-related peptidase(KLK)は,そのカスケードを担うだけでなく,生体内でさまざまな機能を示す.また,グラム陰性菌の外膜成分であるlipopolysaccharide(LPS)は起炎物質の一つとして知られており,歯髄でもまた炎症の誘発・進展に作用する.著者らは,歯髄でLPSがKLK8の発現を促進し,さらにKLK8が炎症促進的に作用するという仮定の下,ヒト歯髄培養細胞を用いて基礎的研究を行った. 材料と方法:抜去歯よりアウトグロースした...
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Veröffentlicht in: | 日本歯科保存学雑誌 2022/06/30, Vol.65(3), pp.205-214 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:Kallikrein-kininカスケードは炎症時における血管透過性亢進や発痛に関与するが,組織カリクレインとも呼ばれるkallikrein-related peptidase(KLK)は,そのカスケードを担うだけでなく,生体内でさまざまな機能を示す.また,グラム陰性菌の外膜成分であるlipopolysaccharide(LPS)は起炎物質の一つとして知られており,歯髄でもまた炎症の誘発・進展に作用する.著者らは,歯髄でLPSがKLK8の発現を促進し,さらにKLK8が炎症促進的に作用するという仮定の下,ヒト歯髄培養細胞を用いて基礎的研究を行った. 材料と方法:抜去歯よりアウトグロースした細胞をヒト歯髄培養細胞とし,10% FCS添加α-MEMにて培養した.培養上清中にLPSを添加後のKLK8発現量の変化,もしくはKLK8添加後のCOX-2発現について,RT-PCR法,Western blot法にて検索した.細胞内の遊離カルシウムイオン濃度の測定は,蛍光カルシウムプローブFura-2を用いた蛍光連続測定にて行い,また培養上清中に放出されたPGE2量をenzyme immunoassay kitにて検討した. 成績:ヒト歯髄培養細胞において,LPSは時間依存的,濃度依存的にKLK8 mRNAとタンパク質の発現を促進した.LPSによるKLK8タンパク質発現はERK1/2,P38 MAPK阻害剤で抑制された.また,KLK8はPAR-1受容体非依存的にCOX-2タンパク質発現および培養上清中PGE2産生を促進し,その効果はtyrosine kinase阻害剤で抑制された. 結論:LPSはKLK8の産生に関与し,kallikrein-kininカスケードに影響を及ぼすことで歯髄炎の進行に関わることが示唆された.またKLK8は歯髄でkininogen活性化だけでなくPAR-1非依存的,tyrosine kinase依存的にCOX-2の産生,PGE2の分泌を促進する可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0387-2343 2188-0808 |
DOI: | 10.11471/shikahozon.65.205 |