合成ランタンオキシアパタイトの光触媒能

目的:活性酸素を有したオキシアパタイト(Ca10 (PO4)6O:OAP)は有機質の酸化・分解を効率良く行うことが可能で,初期は抗菌・滅菌材として機能し,その後は骨置換材や骨補塡材として利用できると考えられる.OAPのカルシウムイオンをランタンイオンに置換させることで光触媒が起こることが報告されており,今回は,可視光応答型光触媒として機能するランタンをドープしたOAP(Ca8La2 (PO4)6O2:La-OAP)の合成と,合成La-OAPの光触媒能について検討した. 材料と方法:La-OAP光触媒の合成は乾式法で行った.ピロリン酸カルシウムと酸化ランタンの混合物をマルチ雰囲気炉にて酸素ガスフ...

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Veröffentlicht in:日本歯科保存学雑誌 2022/02/28, Vol.65(1), pp.30-37
Hauptverfasser: 駒田, 裕子, 玉置, 幸道, 亀水, 秀男
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:活性酸素を有したオキシアパタイト(Ca10 (PO4)6O:OAP)は有機質の酸化・分解を効率良く行うことが可能で,初期は抗菌・滅菌材として機能し,その後は骨置換材や骨補塡材として利用できると考えられる.OAPのカルシウムイオンをランタンイオンに置換させることで光触媒が起こることが報告されており,今回は,可視光応答型光触媒として機能するランタンをドープしたOAP(Ca8La2 (PO4)6O2:La-OAP)の合成と,合成La-OAPの光触媒能について検討した. 材料と方法:La-OAP光触媒の合成は乾式法で行った.ピロリン酸カルシウムと酸化ランタンの混合物をマルチ雰囲気炉にて酸素ガスフロー下で各3種類の温度(1,000°C,1,200°C,1,400°C)で,4時間加熱して合成した.生成物の同定は粉末X線回折により検討した.また,La-OAPの光触媒能は10~60分間の照射時間による可視光下のメチレンブルー(MB)色素の退色により評価した.La-OAPの抗菌性はハロー試験により検討した.さらに,ハロー試験はLa-OAP粉末を含有したフィルター試片(5mmφ)で行った.このフィルター試片をEscherichia coliまたはStreptococcus mutansを含んだ寒天培地の上に設置後,上下から光照射を30分間行い,37°C,12時間培養を行った.培養後,フィルター試片の周囲に生じる細菌発育阻止円の有無を観察した. 結果:粉末X線回折チャートより加熱La-OAPが生成していることがわかった.また,加熱温度によりLa-OAP量が異なることもわかった.酸素雰囲気下,1,000°C,1,200°Cおよび1,400°Cで合成したLa-OAPは,30~60分間の可視光照射でMBを完全に分解させ,その結果,MB水溶液は透明になった.1,000°C(DO-1000)と1,400°C(DO-1400)で合成したLa-OAPは,光照射時では阻止円を形成しており,両者ともE. coliとS. mutansに対して抗菌性を示すことがわかった. 結論:La-OAPは可視光照射下で光触媒活性能を発現し,光照射下で抗菌性を示す可能性があることがわかった.
ISSN:0387-2343
2188-0808
DOI:10.11471/shikahozon.65.30