ヒト歯髄培養細胞におけるplasminによるcalcineurinを介したCOX-2発現

目的 : Plasminは細胞外基質成分の消化だけでなく前駆体MMPsの活性化にも関与し, 線維素溶解・炎症・組織修復にかかわる生理学的・病理学的にも重要なセリンプロテアーゼである. また近年, plasminは細胞膜上に存在するprotease activated receptors (PARs) を介して炎症シグナルを伝達する報告がある. 著者らはそれが歯髄炎の進行にも関与していると考え, ヒト歯髄培養細胞を用いて, plasminによるcalcineurinの活性化を介したCOX-2発現およびPGE2産生について検討した.  材料と方法 : 抜去歯よりout growthした細胞をヒト歯...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本歯科保存学雑誌 2014, Vol.57(5), pp.442-451
Hauptverfasser: 神尾, 直人, 室町, 幸一郎, 葉山, 朋美, 岡部, 達, 神尾, 素代, 諸橋, 利朗, 松島, 潔
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:目的 : Plasminは細胞外基質成分の消化だけでなく前駆体MMPsの活性化にも関与し, 線維素溶解・炎症・組織修復にかかわる生理学的・病理学的にも重要なセリンプロテアーゼである. また近年, plasminは細胞膜上に存在するprotease activated receptors (PARs) を介して炎症シグナルを伝達する報告がある. 著者らはそれが歯髄炎の進行にも関与していると考え, ヒト歯髄培養細胞を用いて, plasminによるcalcineurinの活性化を介したCOX-2発現およびPGE2産生について検討した.  材料と方法 : 抜去歯よりout growthした細胞をヒト歯髄培養細胞とし, 10% FCS添加α-MEMにて培養した. 培養上清中にplasmin (100nmol/l) を添加し, COX-2 mRNA発現量をRT-PCR法, COX-2タンパク質量および転写因子NFATの核内移行をWestern Blot法, 培養上清中に放出されたPGE2量をenzyme immunoassay kitにて検討した.  結果 : Plasminの添加により時間依存的に培養上清中のPGE2量は増加した. また, plasminはCOX-2 mRNA発現量を時間依存的に促進し, その効果はcalcineurin阻害薬であるFK506で抑制された. Plasminの添加により核タンパク質画分中の転写因子NFATc1量が増加し, COX-2タンパク質発現量も増加したが, いずれもFK506で抑制された. PAR-1活性化剤であるSFLLRNでもほぼ同様の結果が得られた.  結論 : PlasminはPAR-1を介してCOX-2, PGE2を産生することで歯髄炎の進行に関与する可能性があり, またその細胞内シグナル伝達経路においてcalcineurin/NFATc1経路が関与することが示唆された.
ISSN:0387-2343
2188-0808
DOI:10.11471/shikahozon.57.442