等方性超高密度炭がヒト歯肉線維芽細胞に与える影響
目的:歯周病の発症と予防には,歯周病原因子の影響を直接受ける歯肉を健康な状態に維持することが重要とされ,歯肉へのマッサージ効果に関する報告が散見される.また等方性超高密度炭は遠赤外線放射効率が高く,近年さまざまな医療機器への応用が期待されているが,これまでに歯肉に対する影響を検討した報告はみられない.そこで今回われわれは,ヒト正常歯肉線維芽細胞株(Normal Gingival: Gin-1)に対する等方性超高密度炭で作製された炭素ローラーの効果について検討を行った.材料と方法:炭素ローラーは,先端部分に等方性超高密度炭(炭素玉)を使用し,温熱機能(37℃と42℃)と振動機能を備えたマッサージ...
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Veröffentlicht in: | 日本歯科保存学雑誌 2013/08/31, Vol.56(4), pp.291-297 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 目的:歯周病の発症と予防には,歯周病原因子の影響を直接受ける歯肉を健康な状態に維持することが重要とされ,歯肉へのマッサージ効果に関する報告が散見される.また等方性超高密度炭は遠赤外線放射効率が高く,近年さまざまな医療機器への応用が期待されているが,これまでに歯肉に対する影響を検討した報告はみられない.そこで今回われわれは,ヒト正常歯肉線維芽細胞株(Normal Gingival: Gin-1)に対する等方性超高密度炭で作製された炭素ローラーの効果について検討を行った.材料と方法:炭素ローラーは,先端部分に等方性超高密度炭(炭素玉)を使用し,温熱機能(37℃と42℃)と振動機能を備えたマッサージローラー(Gum-roller,大木工藝)である.Gin-1は10% Fetal Bovine Serum (FBS)添加Dulbecco's Modified Eagle's Medium (DMEM)で培養,この炭素ローラーの効果を検討するために,炭素玉群,炭素玉+温熱(37℃あるいは42℃)+振動群,control群(炭素ローラー未刺激)を作製した.その後,real-time Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction (RT-PCR)とEnzyme-linked Immunosorbent Assay (ELISA)法を用いて,Fibroblast Growth Factor-2 (FGF-2), Nerve Growth Factor (NGF), Vascular Endothelial Growth Factor (VEGF), Epidermal Growth Factor (EGF)の産生ならびにWater Soluble Tetrazolium Salts (WST) assayを用いた細胞活性とギムザ染色を用いた形態学的変化について検討を加えた.成績:control群と比較して炭素ローラー+温熱(37℃)+振動群では,Gin-1のFGF-2 mRNA発現に有意な増加を認めた.なお,VEGF・EGF mRNAは検出されなかった。さらに,炭素ローラー+温熱+振動群ではGin-1のFGF-2タンパク産生が増加した.結論:以上から,本研究に用いた炭素ローラーは,歯肉線維芽細胞のFGF-2産生を増加させ,歯肉の創傷治癒能力の向上に寄与する可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0387-2343 2188-0808 |
DOI: | 10.11471/shikahozon.56.291 |