歯周骨欠損部に移植した培養ヒト歯髄細胞の組織学的評価

組織工学的な手法を用いて組織の再生を行う場合,多分化能を有する間葉系幹細胞が必要となる.歯科領域で採取可能な細胞源には歯根膜由来,骨髄由来および歯髄由来の間葉系幹細胞が知られている.今回われわれは矯正治療の必要性から抜去された歯より採取した,成人歯髄組織から酵素処理により得られた歯髄細胞に塩基性線維芽細胞増殖因子(basic-fibroblast growth factor: b-FGF)を用いて間葉系幹細胞を増幅した細胞の特性をalkaline phosphatase (ALP)活性およびosteopontin (OPN), osteocalcin (OC), bone sialoprote...

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Veröffentlicht in:日本歯科保存学雑誌 2012/02/29, Vol.55(1), pp.30-37
Hauptverfasser: 保母, 浩児, 金指, 幹元, 川本, 忠文, 五味, 一博
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:組織工学的な手法を用いて組織の再生を行う場合,多分化能を有する間葉系幹細胞が必要となる.歯科領域で採取可能な細胞源には歯根膜由来,骨髄由来および歯髄由来の間葉系幹細胞が知られている.今回われわれは矯正治療の必要性から抜去された歯より採取した,成人歯髄組織から酵素処理により得られた歯髄細胞に塩基性線維芽細胞増殖因子(basic-fibroblast growth factor: b-FGF)を用いて間葉系幹細胞を増幅した細胞の特性をalkaline phosphatase (ALP)活性およびosteopontin (OPN), osteocalcin (OC), bone sialoprotein (BSP), dentin sialophosphoprotein (DSPP)の遺伝子発現を用いて評価した.その結果,b-FGF添加においてALP活性が上昇し,骨の分子マーカーであるOPN, OC, BSPおよび象牙質の分子マーカーであるDSPPの遺伝子発現が上昇することを示した.さらに,b-FGF添加で培養した歯髄幹細胞の表面抗原をCD34, 45, 44, 90について調べたところ造血幹細胞マーカーであるCD34, CD45はネガティブであり,間葉系幹細胞マーカーであるCD44とCD90はポジティブであった.この培養歯髄幹細胞を,コラーゲンゲルを担体としてヌードラットに形成した人工歯周骨欠損内に移植したところ,コラーゲンゲルのみの移植を行ったコントロール群では結合組織性の付着および骨の再生を認めなかったが,細胞を含む実験群では結合組織性の付着が認められた.今回の実験では歯槽骨の再生は認められなかったが,結合組織性の付着が得られたことから歯髄幹細胞による歯周組織再生の可能性が考えられた.
ISSN:0387-2343
2188-0808
DOI:10.11471/shikahozon.55.30