G-Bond Plusの歯質接着性に関する研究

近年,接着操作の簡便化を図る目的で,ワンボトル・ワンステップボンディング材が開発され,その歯質接着性が検討されている.しかし,ボンディング材に配合されている酸性モノマーと歯質との相互作用の詳細についてはいまだ不明な点が多い.本研究では,ワンステップボンディング材G-Bond Plusに配合されている酸性モノマーとハイドロキシアパタイトまたは象牙質とを反応させ,反応前後における13C NMRスペクトルの変化から酸性モノマーと歯質成分との相互作用の詳細について検討し,さらに,酸性モノマーの脱灰率がエナメル質および象牙質の接着強さに及ぼす影響を調べ,G-Bondの結果と比較検討した.G-Bond P...

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Veröffentlicht in:日本歯科保存学雑誌 2011/02/28, Vol.54(1), pp.33-39
Hauptverfasser: 藤田, 光, 岩井, 仁寿, 岡田, 珠美, 鈴木, 英明, 酒井, きよ美, 西山, 典宏, 池見, 宅司
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年,接着操作の簡便化を図る目的で,ワンボトル・ワンステップボンディング材が開発され,その歯質接着性が検討されている.しかし,ボンディング材に配合されている酸性モノマーと歯質との相互作用の詳細についてはいまだ不明な点が多い.本研究では,ワンステップボンディング材G-Bond Plusに配合されている酸性モノマーとハイドロキシアパタイトまたは象牙質とを反応させ,反応前後における13C NMRスペクトルの変化から酸性モノマーと歯質成分との相互作用の詳細について検討し,さらに,酸性モノマーの脱灰率がエナメル質および象牙質の接着強さに及ぼす影響を調べ,G-Bondの結果と比較検討した.G-Bond PlusまたはG-Bond 2.000g中にハイドロキシアパタイト粉末,または切削したウシ前歯歯冠象牙質切削粉末0.400gを懸濁し,振盪・攪拌した.その後,懸濁液を遠心分離し,ボンディング材上澄み液の13C NMRスペクトルをEX 270スペクトロメーターを用いて測定した.ハイドロキシアパタイトまたは象牙質粉末を相互作用させる前および後の13C NMRスペクトルを基に,TEGDMAのビニル基メチレンカーボンNMRピークに対するG-Bond PlusおよびG-Bondに配合されている酸性モノマーのビニル基メチレンカーボンNMRピークの強度比を求めた.酸性モノマービニル基メチレンカーボンNMRピークの強度の減少率は,反応前後の強度比の差を反応前に得られた強度比の値で除して求め,酸性モノマーの歯質アパタイト成分の脱灰率とした.さらにG-Bond PlusまたはG-Bondのエナメル質および象牙質に対するせん断接着強さを測定した.その結果,G-Bond Plusにハイドロキシアパタイトまたは象牙質を相互作用させると,酸性モノマーの脱灰率はハイドロキシアパタイトで22.0%,象牙質では66.0%で,G-Bond PlusはG-Bondより高い脱灰率を示した.G-Bond Plusのエナメル質に対する接着強さは,G-Bondより28%高い値を示したが,象牙質への接着強さはG-Bondと同程度の値を示した.以上のことから,G-BondよりもG-Bond Plusは酸性モノマーによる脱灰率が高いことが示され,エナメル質において有意に高い接着強さを示したが,象牙質では有意差が認められなかった.
ISSN:0387-2343
2188-0808
DOI:10.11471/shikahozon.54.33