ヒト歯肉上皮細胞に及ぼす影響から考えるエナメルマトリックスデリバティブ誘導体由来合成ペプチドの有用性
幼若ブタの歯胚から抽出されたエナメルマトリックスデリバティブ(以下,EMDと略す)は,歯槽骨吸収の著しい歯周炎患者の歯周組織再生,特に無細胞セメント質を誘導し歯周組織の再生を促す材料として,現在広く臨床応用されている.しかし,EMDは生物由来材料のため,未知の病原体の問題点を払拭できず患者からの拒否感があるのも事実であり,生物に由来しない合成ペプチドの開発が望まれていることから,EMDの基礎研究から得た成果を基に新規合成ペプチドを作製した.今回,創傷治癒過程における重要な歯周組織構成細胞であるヒト歯肉上皮細胞に対する,EMD由来新規合成ペプチドの影響について検討した.ヒト歯肉上皮細胞として,歯...
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Veröffentlicht in: | 日本歯科保存学雑誌 2010/08/31, Vol.53(4), pp.449-456 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 幼若ブタの歯胚から抽出されたエナメルマトリックスデリバティブ(以下,EMDと略す)は,歯槽骨吸収の著しい歯周炎患者の歯周組織再生,特に無細胞セメント質を誘導し歯周組織の再生を促す材料として,現在広く臨床応用されている.しかし,EMDは生物由来材料のため,未知の病原体の問題点を払拭できず患者からの拒否感があるのも事実であり,生物に由来しない合成ペプチドの開発が望まれていることから,EMDの基礎研究から得た成果を基に新規合成ペプチドを作製した.今回,創傷治癒過程における重要な歯周組織構成細胞であるヒト歯肉上皮細胞に対する,EMD由来新規合成ペプチドの影響について検討した.ヒト歯肉上皮細胞として,歯周外科時に採取された歯肉から樹立され,epi4と命名されたヒト歯肉上皮細胞株を実験に使用し,ヒト歯肉上皮細胞に対する新規合成ペプチドの影響としては,細胞の増殖,接着および遊走について検討した.実験群では合成ペプチドを100ng/mlの濃度で培地に溶解させヒト歯肉上皮細胞に応用し,対照群は合成ペプチド無添加とした.細胞増殖に関しては,1,3,24,72時間培養後に,細胞接着に関しては培養1時間後に,細胞遊走に関してはBoyden chamber法を改良して,1,4,8時間後にそれぞれを測定した.細胞増殖は,培養1,3,24時間後の実験群では対照群に比べて有意に低かった.培養後72時間後の細胞増殖は,実験群は対照群に比べて低いものの有意差は認められなかった.細胞増殖は経時的に有意な増殖傾向を示した.細胞接着は,実験群のほうが対照群よりも有意に低かった.細胞遊走は,実験時間において対照群よりも有意に高かった.これらの結果から,EMD由来の合成ペプチドは歯周組織再生の過程でみられる創傷治癒に関与するヒト歯肉上皮細胞の増殖,接着を抑制し,遊走を促進することが示唆された. |
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ISSN: | 0387-2343 2188-0808 |
DOI: | 10.11471/shikahozon.53.449 |