Mineral trioxide aggregate(MTA)がヒト歯根膜線維芽細胞に及ぼす影響に関する研究
Mineral trioxide aggregate(MTA)は90年代初頭に歯内治療用修復材として開発・報告された.以来,優れた生体適合性を有していることが明らかになり,直接覆髄,根管または分岐部穿孔,逆充填,Apexificationなどへの応用例において,その表面に硬組織を伝導し,その結果MTAによって修復された部位の周囲組織の再生を促す働きがあることが報告されている.しかしながら,MTAが歯根膜組織に及ぼす影響については不明な点が多いことから,本研究では,ヒト歯根膜線維芽細胞(HPLF)を用いて,MTAへの付着,およびMTAがHPLFの増殖ならびに分化に及ぼす影響へのカルシウムの関与に...
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Veröffentlicht in: | 日本歯科保存学雑誌 2009/08/31, Vol.52(4), pp.355-362 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | Mineral trioxide aggregate(MTA)は90年代初頭に歯内治療用修復材として開発・報告された.以来,優れた生体適合性を有していることが明らかになり,直接覆髄,根管または分岐部穿孔,逆充填,Apexificationなどへの応用例において,その表面に硬組織を伝導し,その結果MTAによって修復された部位の周囲組織の再生を促す働きがあることが報告されている.しかしながら,MTAが歯根膜組織に及ぼす影響については不明な点が多いことから,本研究では,ヒト歯根膜線維芽細胞(HPLF)を用いて,MTAへの付着,およびMTAがHPLFの増殖ならびに分化に及ぼす影響へのカルシウムの関与について検討することを目的とした.直径9mm,厚さ1mmのMTA discを作製し,2名の患者から提供された2種のHPLFとの共培養を行った.培養24時間後には,HPLFはMTAの表面形状が粗な面ならびに平滑な面の双方に,同様の接着傾向を示した.またMTAとの共培養において,播種するHPLFの細胞数の違いによる増殖能への影響について検討した結果,低い細胞密度で播種した場合には,培養7日間で細胞数はほとんど増加せず,増殖が制限されていたが,高密度で播種した場合には,MTAを含まないコントロールと同等の細胞増殖を示した.MTAと4週間培養したHPLFは,MTA周囲において石灰化が促進する傾向が観察された.また,HPLFを5mmol/l CaCl2を添加した培地中で4日間培養した結果,オステオポンチン(OPN)ならびにオステオカルシン(OCN)mRNAの発現が促進し,さらに4週間後には石灰化像が観察された.これらの結果から,MTAはHPLFに対して細胞親和性を有しており,さらにHPLFの骨芽細胞/セメント芽細胞様分化を促進する働きをもち,これにはMTAから溶出するカルシウムが関与している可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0387-2343 2188-0808 |
DOI: | 10.11471/shikahozon.52.355 |