難治性根尖性歯周炎に対する意図的歯牙再植法の有用性
近年,意図的歯牙再植法は外傷による脱臼歯の処置法として有用であるのみならず,パーフォレーションなどの偶発症に対する処置や,慢性化膿性根尖性歯周炎と診断され,通法の根管処置では治癒が望めない,いわゆる難治性根尖性歯周炎に対する処置法としても注目されている.今回われわれは,通常の根管処置を行ったにもかかわらず症状の改善が認められない症例に対して,意図的歯牙再植法を実施し,症状の推移について検討した.被験歯としては,東京歯科大学千葉病院ならびに水道橋病院保存科,水道橋病院総合歯科を訪れた年齢13歳から68歳までの患者(平均41歳)で,いずれも慢性化膿性根尖性歯周炎と診断され,通法の感染根管処置を行っ...
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Veröffentlicht in: | 日本歯科保存学雑誌 2008/08/31, Vol.51(4), pp.403-410 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 近年,意図的歯牙再植法は外傷による脱臼歯の処置法として有用であるのみならず,パーフォレーションなどの偶発症に対する処置や,慢性化膿性根尖性歯周炎と診断され,通法の根管処置では治癒が望めない,いわゆる難治性根尖性歯周炎に対する処置法としても注目されている.今回われわれは,通常の根管処置を行ったにもかかわらず症状の改善が認められない症例に対して,意図的歯牙再植法を実施し,症状の推移について検討した.被験歯としては,東京歯科大学千葉病院ならびに水道橋病院保存科,水道橋病院総合歯科を訪れた年齢13歳から68歳までの患者(平均41歳)で,いずれも慢性化膿性根尖性歯周炎と診断され,通法の感染根管処置を行った後も症状の改善が認められなかった症例30例である.これらに対して患者の十分な同意の下に,根尖(歯根端)切除術を併用した意図的歯牙再植法を実施した.その結果,すべての症例で術前・術中に咬合時痛,打診痛,根尖部違和感を認めていたが,処置後に症状が改善され,修復物の装着にいたり,現在歯根吸収などを含め全く症状が認められないものが28例であった.2例は術前・術後の症状に変化がなく,症状発現の原因が根尖部に存在せず,いわゆる神経因性疼痛の疑いがあるものと考えられた.以上のことから,慢性化膿性根尖性歯周炎と診断され,根尖部に疼痛発現の原因が存在し,これが通常の根管処置では改善されないいわゆる難治性根尖性歯周炎の場合,その処置法の選択肢として意図的歯牙再植法は,有用性が高いものと思われた. |
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ISSN: | 0387-2343 2188-0808 |
DOI: | 10.11471/shikahozon.51.403 |