細菌由来因子に対する歯髄線維芽細胞のサイトカインならびに接着分子発現
歯髄炎は,主に齲蝕細菌による侵襲に対して歯髄の生体防御機構が作動することにより惹起されると考えられているが,歯髄炎の病態形成にかかわる免疫細胞の浸潤様式や定着機構については,不明な点も多い.今回,培養歯髄線維芽細胞に細菌由来因子を作用させたときの炎症性サイトカインならびに接着分子発現について検討し,歯髄炎の病態形成における歯髄線維芽細胞の動態を検索した.歯髄線維芽細胞は,便宜抜歯された小臼歯あるいは埋伏智歯から分離した正常歯髄を初代培養し,5〜10代継代したものを使用した.細菌由来の刺激因子としてEscherichia coli lipopolysaccharide(LPS)とStaphylo...
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Veröffentlicht in: | 日本歯科保存学雑誌 2007/10/31, Vol.50(5), pp.553-561 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 歯髄炎は,主に齲蝕細菌による侵襲に対して歯髄の生体防御機構が作動することにより惹起されると考えられているが,歯髄炎の病態形成にかかわる免疫細胞の浸潤様式や定着機構については,不明な点も多い.今回,培養歯髄線維芽細胞に細菌由来因子を作用させたときの炎症性サイトカインならびに接着分子発現について検討し,歯髄炎の病態形成における歯髄線維芽細胞の動態を検索した.歯髄線維芽細胞は,便宜抜歯された小臼歯あるいは埋伏智歯から分離した正常歯髄を初代培養し,5〜10代継代したものを使用した.細菌由来の刺激因子としてEscherichia coli lipopolysaccharide(LPS)とStaphylococcus aureus peptidoglycan(PGN)を用い,歯髄線維芽細胞を刺激した.炎症性サイトカイン(interleukin(IL)-8)や成長因子(vascular endothelial growth factor (VEGF)),接着分子(intercellular adhesion molecule-1(ICAM-1)), vascular adhesion molecule-1(VCAM-1))の遺伝子発現をreverse transcriptase-polymerase chain reaction(RT-PCR)法により,培養上清中に産生されたIL-8,VEGFタンパク量をenzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)法にて測定した.また,歯髄線維芽細胞膜上の接着分子の発現についてはフローサイトメトリーを用いて解析した.LPSまたはPGN添加により,歯髄線維芽細胞におけるIL-8,ICAM-1の遺伝子発現は濃度依存的に増加し,また培養上清中におけるIL-8,VEGF産生の上昇も認められた.さらに,歯髄線維芽細胞膜上のICAM-1,VCAM-1発現の増強が認められた.以上のことから,細菌由来因子に応答した歯髄線維芽細胞が,歯髄炎の病態形成における免疫細胞の浸潤・定着に関与している可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0387-2343 2188-0808 |
DOI: | 10.11471/shikahozon.50.553 |