Er:YAGレーザーの根管内照射による影響 : 象牙質感染モデルにおける殺菌効果について

歯内治療の結果を成功させるには,根管内を可及的に無菌化することが非常に重要である.機械的拡大や化学的清掃を補う手段としてのレーザーの可能性に着目し,本研究では,Er:YAGレーザーによる根管内殺菌効果に関して,ウシの歯根象牙質感染モデルを用いて,顕微鏡レベルでの形態学的な観察を行った.実験には,ウシの前歯歯根の象牙質を使用した.歯髄組織を除去後,試料をEnterococcus faecalis菌の入った培地中で5日間培養し,その後,根管内照射用チップR135T(先端内径135μmの円錐型チップ)を装着したEr:YAGレーザーを30,50,70mJのエネルギー量で照射した.殺菌効果の観察は,光顕...

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Veröffentlicht in:日本歯科保存学雑誌 2007/06/30, Vol.50(3), pp.379-385
Hauptverfasser: 松本, 妃可, 吉嶺, 嘉人, 西垣, 奏一郎, 小野, 真紀子, 赤峰, 昭文
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:歯内治療の結果を成功させるには,根管内を可及的に無菌化することが非常に重要である.機械的拡大や化学的清掃を補う手段としてのレーザーの可能性に着目し,本研究では,Er:YAGレーザーによる根管内殺菌効果に関して,ウシの歯根象牙質感染モデルを用いて,顕微鏡レベルでの形態学的な観察を行った.実験には,ウシの前歯歯根の象牙質を使用した.歯髄組織を除去後,試料をEnterococcus faecalis菌の入った培地中で5日間培養し,その後,根管内照射用チップR135T(先端内径135μmの円錐型チップ)を装着したEr:YAGレーザーを30,50,70mJのエネルギー量で照射した.殺菌効果の観察は,光顕と透過型電顕にて行った.5日間の培養後,多数のグラム陽性菌が約500μmの深さまで象牙細管内に侵入している様子が観察された.レーザー照射後,皿状の陥凹部が形成され,陥凹部はエネルギー量に比して大きくなる傾向にあることが光顕で観察された.陥凹部の表層直下では,いくらかの細菌が観察されたが,透過型電顕で観察すると,それらの細菌はその基本的形態を保持していた.また,コントロール群として5%NaOClに3分間浸漬した象牙質片の光顕像では,表層の象牙細管内にも多数の細菌を認めた.結果より,Er:YAGレーザーの殺菌効果は主に蒸散作用によることが示唆された.また,洗浄液を効果的に作用させるためには使用法や使用時間に配慮する必要があると考えられる.Er:YAGレーザーを用いて象牙質深部の細菌を完全に死滅させるのは困難であるように思われた.
ISSN:0387-2343
2188-0808
DOI:10.11471/shikahozon.50.379