新型ニッケルチタンファイルLiberator®の理工学的特性
Ni-Ti合金は低い弾性係数,超弾性,形状記憶特性などの特性をもち,歯内治療においてもその特有の性質が応用されてきた.近年開発,臨床応用された新しいニッケルチタンファイルは,刃部断面形態やテーパーなどにさまざまな特徴をもつ.本研究は,新型のNi-TiファイルであるLiberator®の理工学的特性を評価することを目的とした.このファイルは刃部にねじれがないことや高速回転で使用することを特徴としている.本研究では,Liberator®と既存のファイルであるProFile®を用い,先端径0.30mmで.04テーパーおよび.06テーパーのファイルを選択し,実験を行った.まず,Liberator®に用...
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Veröffentlicht in: | 日本歯科保存学雑誌 2007/02/28, Vol.50(1), pp.45-51 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | Ni-Ti合金は低い弾性係数,超弾性,形状記憶特性などの特性をもち,歯内治療においてもその特有の性質が応用されてきた.近年開発,臨床応用された新しいニッケルチタンファイルは,刃部断面形態やテーパーなどにさまざまな特徴をもつ.本研究は,新型のNi-TiファイルであるLiberator®の理工学的特性を評価することを目的とした.このファイルは刃部にねじれがないことや高速回転で使用することを特徴としている.本研究では,Liberator®と既存のファイルであるProFile®を用い,先端径0.30mmで.04テーパーおよび.06テーパーのファイルを選択し,実験を行った.まず,Liberator®に用いられているニッケルチタン合金の相変態挙動を調べるため示差走査熱量分析(DSC)を行った.次に,片持ち梁法の曲げ試験により,負荷過程における1.2mmおよび3.0mmたわみ時の曲げ荷重を測定した.また,ねじり試験をISO 3630-1に準じて行い,最大トルクおよび破断角度を測定した.DSCの結果から,Liberator®は通常口腔内で用いる際には,オーステナイト相単相で構成されており,超弾性特性を発揮するために適切な性質を示した.力学的性質に関しては,.06テーパー間においてLiberator®の曲げ荷重はProFile®に比較し有意に小さい値を示した.しかしながら,.04テーパーではこれらの曲げ荷重に有意差は認められなかった.また,Liberator®の最大トルクおよび破断角度は,ProFile®に比較し有意に低い値を示した.曲げ試験の結果から,Liberator®はProFile®に比較し大きなテーパーのものではより柔軟性があることが示唆された.このLiberator®の機械的性質には,合金の相変態挙動とともにファイルの断面形態が影響していると考えられる.しかしながら,ねじり試験の結果より,Liberator®はねじりに対する抵抗性が低く,破折を避けるためには形成中の負荷条件に細心の注意が必要であることが示唆された. |
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ISSN: | 0387-2343 2188-0808 |
DOI: | 10.11471/shikahozon.50.45 |