可視光で反応するTiO2を含む漂白材(Pyrenees®)による生活歯の漂白効果

可視光で反応するTiO2と3.5wt%H2O2を含有する新しい歯の漂白材Pyrenees®が開発された.本材は従来の高濃度H2O2を含むものと比較して,口腔粘膜に対するより安全性の高い漂白材である.この研究の目的は,新しく開発された漂白材の臨床的な効果と安全性を評価することである.漂白処置は1週間に一度の間隔で3回,61名の被験者に適応された.漂白効果は色彩色差計を用いた色の変化の測定,比較対照としてシェードガイド(Vitapan 3D-Master®)による歯の色の観察,そして患者の満足度を6カ月の診査期間中に術前と術後を比較することにより決定した.さらに,その漂白材の安全性が漂白期間中に臨床的診査を行うことで調査された.臨床的評価において,Pyrenees®の漂白効果は漂白処置期間中,変色有髄歯に明らかに認められたが,術後の評価では効果が減少していく傾向が示された.患者の満足度は「大変満足」と「満足」を合わせて90%以上であった.安全性については,4症例で漂白材を作用させた直後にほんのわずかの間,軽度の痛みを訴えたが,その痛みはただちに消失した.1症例で歯肉の腐食を認めたが,その歯肉は1週間後に治癒していた.Pyrenees®は変色有髄歯に対して,臨床的に有効な漂白効果を示し,安全性の高い漂白材であることが認められた.