心外膜脂肪と心房細動
心外膜脂肪(epicardial adipose tissue:EAT)は心房細動の発症と密接に関与する.筆者らは,心臓血管外科で開胸手術を受けた際に,左心耳切除を施行された心房細動を有する連続59症例を解析した.EAT自体の線維化(fibrotic remodeling of EAT)には大きな個人差があり,EAT自体の線維化が顕著であるほど,隣接する心房筋の線維化も顕著であった.またEAT中のインターロイキン6(IL-6),単球走化性因子(MCP-1),腫瘍壊死因子(TNF-α)など,多くの炎症性サイトカイン/ケモカインおよびMMP2,MMP9の濃度が心房筋の総コラーゲン量と正相関を示した...
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Veröffentlicht in: | 心電図 2021/12/23, Vol.41(4), pp.165-172 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 心外膜脂肪(epicardial adipose tissue:EAT)は心房細動の発症と密接に関与する.筆者らは,心臓血管外科で開胸手術を受けた際に,左心耳切除を施行された心房細動を有する連続59症例を解析した.EAT自体の線維化(fibrotic remodeling of EAT)には大きな個人差があり,EAT自体の線維化が顕著であるほど,隣接する心房筋の線維化も顕著であった.またEAT中のインターロイキン6(IL-6),単球走化性因子(MCP-1),腫瘍壊死因子(TNF-α)など,多くの炎症性サイトカイン/ケモカインおよびMMP2,MMP9の濃度が心房筋の総コラーゲン量と正相関を示した.EAT中のアンギオポエチン様因子2(Angptl2)濃度は,EATの炎症性サイトカイン/ケモカイン,MMP2,MMP9および心房筋の総コラーゲン量と正相関を示した.次に,器官培養法を用い,Angptl2が心房線維化を惹起するかについて検討した.病理解剖が行われた9症例の左房周囲のEATおよび腹部の皮下脂肪(subcutaneous adipose tissue:SAT)から培養実験に用いるconditioned mediumを作成した.一方,8週齢の雄性ラットから左心房を単離し,シャーレ内で1週間,器官培養した.EAT由来のconditioned medium(以下,EAT)は,滴下負荷開始から5~7日後に,器官培養したラット左心房の心外膜側から線維化を惹起した.SAT由来のconditioned medium(以下,SAT)を負荷した左心房には線維化が認められなかった.器官培養したラット左心房にヒトリコンビナントAngptl2(5ng/ml)を心外膜側から滴下負荷したところ,7日後には心外膜側に線維化が惹起され,この線維化はAngptl2の中和抗体を同時投与することで抑制された. |
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ISSN: | 0285-1660 1884-2437 |
DOI: | 10.5105/jse.41.165 |