下側壁の早期再分極パターンを呈し,心室細動をきたしたBrugada症候群の1例

症例は34歳の男性.夜間に動悸を認めたため前医を受診し,心房細動(AF)と診断された.初回はピルジカイニドで除細動できたが,2回目の夜間心房細動はピルジカイニド投与後に心室細動(VF)へと移行したため電気的除細動を行った.VF直前には下方誘導(II,III,aVF)のST上昇と徐脈で顕在化する左胸部誘導(V3~V6)のJ波を認めた.当院転院後の諸検査からは器質的心疾患は否定的で,心室遅延電位は陽性であった.ピルジカイニド負荷試験(1mg/kg)の結果から下側壁誘導の早期再分極パターンを伴ったBrugada症候群と診断し,植込み型除細動器(ICD)の植込み術を行った.無投薬下ではICDが作動した...

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Veröffentlicht in:心電図 2011, Vol.31(5), pp.476-484
Hauptverfasser: 安田, 潮人, 古川, 陽介, 仲村, 尚崇, 深田, 光敬, 小田代, 敬太, 柳, 統仁, 小池, 明広, 丸山, 徹, 赤司, 浩一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は34歳の男性.夜間に動悸を認めたため前医を受診し,心房細動(AF)と診断された.初回はピルジカイニドで除細動できたが,2回目の夜間心房細動はピルジカイニド投与後に心室細動(VF)へと移行したため電気的除細動を行った.VF直前には下方誘導(II,III,aVF)のST上昇と徐脈で顕在化する左胸部誘導(V3~V6)のJ波を認めた.当院転院後の諸検査からは器質的心疾患は否定的で,心室遅延電位は陽性であった.ピルジカイニド負荷試験(1mg/kg)の結果から下側壁誘導の早期再分極パターンを伴ったBrugada症候群と診断し,植込み型除細動器(ICD)の植込み術を行った.無投薬下ではICDが作動したためシロスタゾール(200mg)とベプリジル(100mg)の併用療法を行ったところ,以後ICDは作動していない.本例はBrugada症候群と早期再分極症候群の複雑な関係を考えるうえで貴重な症例と考えられた.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.31.476