Brugada症候群~発症機序を中心に

Brugada症候群は,1)右胸部誘導におけるJ波,ST上昇および陰性T波を特徴とする心電図,2)多形性心室頻拍・心室細動の発生,を主病態とする症候群である.この症候群の発生機序を説明する代表的な説として,1)細胞活動電位の異常とばらつき説(再分極異常説),2)伝導異常説(脱分極異常説),の二つが提唱されている.再分極異常を示唆する所見としては,(1)特徴的な心電図を有する,(2)自律神経の関与を認める,(3)男性ホルモンの影響を認める,(4)チャネルをになう遺伝子異常を認める,などがある.一方,(1)加算平均心電図で後電位が記録される,(2)右室流出路心外膜側から異常電位が記録される,(3)...

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Veröffentlicht in:心電図 2009, Vol.29(5), pp.385-391
1. Verfasser: 大江, 透
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:Brugada症候群は,1)右胸部誘導におけるJ波,ST上昇および陰性T波を特徴とする心電図,2)多形性心室頻拍・心室細動の発生,を主病態とする症候群である.この症候群の発生機序を説明する代表的な説として,1)細胞活動電位の異常とばらつき説(再分極異常説),2)伝導異常説(脱分極異常説),の二つが提唱されている.再分極異常を示唆する所見としては,(1)特徴的な心電図を有する,(2)自律神経の関与を認める,(3)男性ホルモンの影響を認める,(4)チャネルをになう遺伝子異常を認める,などがある.一方,(1)加算平均心電図で後電位が記録される,(2)右室流出路心外膜側から異常電位が記録される,(3)右胸部誘導心電図で多数の棘波(fragmented QRS)を認める,(4)心室期外収縮で心室細動が誘発される,(5)右室形態や心筋病理で異常を認める,などは脱分極異常を示唆する所見と考えられている. 最近Brugada症候群は,1)単一疾患でなく複数の病因が原因,2)再分極異常に脱分極異常が加わって上記の病態形成に至る,と考える折衷案が提唱されている.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.29.385