コンピュータシミュレーションを用いた心室細動の持続に関する機序の解析:心室細動のcritical mass仮説の解析

【目的】心室細動(VF)のcritical mass仮説をコンピュータシミュレーションを用いて検討し, VFの持続に必要な条件を明らかにする. 【方法】哺乳類心室筋細胞の数学モデルであるLuo-Rudyモデルを用いて均質等方性の仮想心筋を構築し, critical massの測定およびcritical massに対する心筋形状の影響を検討した. 【結果】critical massは立方体形状で8.8cm3であったが, 直方体形状では直交する3辺の長さに応じてcritical massの値は変化した. 心筋体積が8.2~30.9cm3では心筋形状によって停止, 二次元的なスパイラルリエントリーと...

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Veröffentlicht in:心電図 2008, Vol.28 (4), p.263-272
Hauptverfasser: 戸田直, 芦原貴司, 渡辺淳, 白土邦男, 池田隆徳, 中沢一雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】心室細動(VF)のcritical mass仮説をコンピュータシミュレーションを用いて検討し, VFの持続に必要な条件を明らかにする. 【方法】哺乳類心室筋細胞の数学モデルであるLuo-Rudyモデルを用いて均質等方性の仮想心筋を構築し, critical massの測定およびcritical massに対する心筋形状の影響を検討した. 【結果】critical massは立方体形状で8.8cm3であったが, 直方体形状では直交する3辺の長さに応じてcritical massの値は変化した. 心筋体積が8.2~30.9cm3では心筋形状によって停止, 二次元的なスパイラルリエントリーとして持続, もしくは三次元的に持続する場合とに分けられた, VFの持続に関与する心筋形状の因子は心筋の厚みと最大断面積で, 厚みが薄くなるにつれてVFの持続が困難となり, その際に心筋の最大断面積が十分に広いと二次元的なスパイラルリエントリーとして持続した. 【結論】VFの持続は単純に心筋量によってのみ規定されるのではなく, 心筋形状に大きな影響を受けることが明らかとなった. この結果は, 新しい細動性不整脈の治療戦略を開発する際の理論的基盤になるものと考える.
ISSN:0285-1660
DOI:10.5105/jse.28.263