5. Brugada症候群における性差と加齢

Brugada症候群には一部の患者ではSCN5Aなどの遺伝子変異が同定され, 遺伝性不整脈疾患にもかかわらず, 若年発症はまれで40~50歳にかけて初発することや, 常染色体優性遺伝形式をとるにもかかわらず男性に圧倒的に頻度が高いという性差など, 未解決な点も多い. 動脈灌流右室心筋切片に高感度光マッピング法を応用したBrugadaモデルにより, ST上昇や心室細動(VF)第1拍目の心室期外収縮には, 心外膜‐心内膜細胞間の電位勾配と心外膜細胞間のphase 2 reentryが関与するが, VFが持続するためには, 軽度の伝導(脱分極)異常が必要であるとされている. SCN5A陽性Bruga...

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Veröffentlicht in:心電図 2008, Vol.28 (2), p.147-157
Hauptverfasser: 清水渉, 相庭武司, 栗田隆志, 里見和浩, 横川美樹, 岡村英夫, 野田崇, 須山和弘, 相原直彦, 鎌倉史郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:Brugada症候群には一部の患者ではSCN5Aなどの遺伝子変異が同定され, 遺伝性不整脈疾患にもかかわらず, 若年発症はまれで40~50歳にかけて初発することや, 常染色体優性遺伝形式をとるにもかかわらず男性に圧倒的に頻度が高いという性差など, 未解決な点も多い. 動脈灌流右室心筋切片に高感度光マッピング法を応用したBrugadaモデルにより, ST上昇や心室細動(VF)第1拍目の心室期外収縮には, 心外膜‐心内膜細胞間の電位勾配と心外膜細胞間のphase 2 reentryが関与するが, VFが持続するためには, 軽度の伝導(脱分極)異常が必要であるとされている. SCN5A陽性Brugada症候群患者ではSCN5A陰性患者に比べ, 心電図の脱分極指標(PR, QRS時間)が長く, 平均10年間の経過観察でこれらの延長度も大きいことが報告され, 特にSCN5A陽性例で, 加齢による脱分極異常がVFの晩期発症に関与する可能性が示唆されている. 男性優位の性差には, 右室心外膜細胞の第1相notchが雌に比べ雄で大きいことが関与していると動物実験で報告されている. また, Brugada症候群男性患者では, 年齢を一致させた対照男性に比べて, 外向き電流を増加させる男性ホルモン(テストステロン)レベルが有意に高く, 体脂肪率が低いことが報告されており, テストステロンの関与も示唆されている.
ISSN:0285-1660