薬物による心室スパイラル・リエントリーの制御-K+チャネル遮断薬の有用性と限界

心臓突然死の主要な原因である心室頻拍・細動(VT/VF)の成立には, 渦巻き型の旋回興奮(スパイラル・リエントリー)が重要な役割を果たすことが知られている. 薬物によるスパイラル・リエントリーの制御に関しては, 従来はコンピュータシミュレーションを用いた検討が主体であり, 実験的な検証は不十分であった. 最近われわれは, 小動物の灌流心標本を用いた活動電位光学マッピング実験で, 遅延整流K+チャネル電流の速い活性化成分(IKr)を遮断する薬物が, 心室に誘発したスパイラル・リエントリーを不安定にするだけでなく, その早期停止を促す作用があることを発見した. 前者は多形性のVTからVFへの移行を...

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Veröffentlicht in:心電図 2007-07, Vol.27 (4), p.275-286
Hauptverfasser: 児玉逸雄, 本荘晴朗, 山崎正俊, 原田将英, 石黒有子, 高成広起, 神谷香一郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:心臓突然死の主要な原因である心室頻拍・細動(VT/VF)の成立には, 渦巻き型の旋回興奮(スパイラル・リエントリー)が重要な役割を果たすことが知られている. 薬物によるスパイラル・リエントリーの制御に関しては, 従来はコンピュータシミュレーションを用いた検討が主体であり, 実験的な検証は不十分であった. 最近われわれは, 小動物の灌流心標本を用いた活動電位光学マッピング実験で, 遅延整流K+チャネル電流の速い活性化成分(IKr)を遮断する薬物が, 心室に誘発したスパイラル・リエントリーを不安定にするだけでなく, その早期停止を促す作用があることを発見した. 前者は多形性のVTからVFへの移行をもたらす危険性(催不整脈作用)を意味しており, 後者はVT/VFの停止を促す作用(抗不整脈作用)の基盤となる. 本稿では, K+チャネル遮断薬のもつこの二面性を解説する. 「I. はじめに」心室の頻脈性不整脈(頻拍・細動:VT/VF)は血行動態の破綻をきたし, 心臓突然死の主要な原因となる.
ISSN:0285-1660
DOI:10.5105/jse.27.275