心筋梗塞領域誘導での運動誘発ST上昇の原因およびST上昇パターンの分析による検討
梗塞領域誘導で認められる運動誘発ST上昇の成因に心筋虚血が関与しているかを, 運動誘発ST上昇パターンの分析により心筋虚血の関与が判別可能かを検討した. 〔検討1〕Q波心筋梗塞患者で運動誘発ST上昇を示し, 梗塞責任冠動脈に対するPTCAに成功した21例を対象とした. PTCAにより運動時間が延長(490±148→619±162sec, p<0.01). 運動誘発ST上昇の総和は減少した(3.2±2.0→1.8±1.5mV, p<0.01). ドブタミン負荷心エコーでの壁運動変化は, 梗塞領域分画の壁運動指数総和(壁運動改善により指数減少)が, PTCA前には負荷前8.9±3.5, 低用量DO...
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Veröffentlicht in: | 心電図 2001, Vol.21 (3), p.263-269 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 梗塞領域誘導で認められる運動誘発ST上昇の成因に心筋虚血が関与しているかを, 運動誘発ST上昇パターンの分析により心筋虚血の関与が判別可能かを検討した. 〔検討1〕Q波心筋梗塞患者で運動誘発ST上昇を示し, 梗塞責任冠動脈に対するPTCAに成功した21例を対象とした. PTCAにより運動時間が延長(490±148→619±162sec, p<0.01). 運動誘発ST上昇の総和は減少した(3.2±2.0→1.8±1.5mV, p<0.01). ドブタミン負荷心エコーでの壁運動変化は, 梗塞領域分画の壁運動指数総和(壁運動改善により指数減少)が, PTCA前には負荷前8.9±3.5, 低用量DOB負荷4.9±4.6, 高用量DOB負荷9.6±3.6とbiphagic responseを示し梗塞領域の心筋虚血が認められた. PTCA後には負荷前7.8±3.9, 低用量DOB負荷4.2±5.0, 高用量DOB負荷4.4±4.1であり心筋虚血の改善が認められ, 運動誘発ST上昇への梗塞領域心筋虚血の関与が示された. 〔検討2〕Q波心筋梗塞患者で運動誘発ST上昇を示した71例を対象とした. ST上昇パターンを凹型と凸型に分類し, 2群の冠動脈造影, ドブタミン負荷心エコー所見を比較した. 梗塞責任冠動脈の有意病変を有する55例では凹型/凸型の比が45/10, 有意病変のない16例では7/9であった(p<0.05). ドブタミン負荷心エコーを施行した40例中, 梗塞領域心筋虚血が陽性であった24例では, 凹型/凸型の比が21/3例, 虚血陰性16例では7/9例であった(p<0.05). このように凹型ST上昇を示す例では, 凸型ST上昇を示す例に比べ梗塞領域の心筋虚血を認める場合が多いことが示された. (心電図, 2001;21:263~269) |
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ISSN: | 0285-1660 |
DOI: | 10.5105/jse.21.263 |